DOEFF vol13
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YXフェムテック生殖細胞iPS細胞を作製Y染色体のない細胞を選び化合物でX染色体を2本に卵子に変え受精子マウス誕生オスの染色体の構成はXY。そこからY染色体が消えた細胞を培養し、X染色体を複製するとXXとなり、メスの細胞となります。X(オス)X(メス)更年期の女性がさまざまな症状を訴える「更年期障害」には、女性ホルモン欠落症状やうつ病が隠れていることがあり、その診断は現状の問診票だけでは難しいとされます。澤田健二郎准教授(産科学・婦人科学)らの研究グループが模索しているのは、客観的な指標に基づく新たな診断装置によって、女性ホルモンの欠落症状と精神症状を簡便に鑑別する方法です。自律神経の乱れに着目し、閉経後の女性において、パッチ式脳波計を用いて睡眠時脳波を測定し、問診表と併せて解析することで、90%以上の精度で判定することに成功しました。自宅でも使える診断ツールとして実用化が期待されます。この研究成果は、女性の健康の課題をテクノロジーで解決する製品・サービス「フェムテック」の可能性を広げるはずです。フェムテックとは、”female technology”を略した造語。女性の活躍推進が求められる時代の流れの中で注目されるようになりました。林克彦教授(生殖遺伝学)らのグループは、オスのマウスから卵子を作製して、別のマウスの精子と受精させ、オス同士の子どもができたことを発表し、世界を驚かせました。それまでは、メスのマウスのiPS細胞から卵子は作製されていましたが、オスや性染色体に異常のある細胞からの卵子の誘導は困難とされていたからです。林教授らが初めに行ったのは、オスの尻尾からiPS細胞を作製すること。それが分裂を繰り返す中で、XとYをもつオス本来の性染色体のうち、Yが消えてXだけになった細胞を選別し、Xを重複させてメス化します。こうして発生能力のある卵子の作製に成功しました。染色体異常による不妊症の解明や治療法の開発が視野に入り、期待は膨らむばかりです。20KeywordKeyword女性の活躍を支えるテクノロジーの力。iPS細胞を不妊治療に役立てる。

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