認知症は加齢に伴って発症しやすくなるため、高齢化の進展により患者さんの数は増え続けています。私が研修医だった30年前に比べると、認知症が社会に与えるインパクトは格段に高まりました。現在、日本の患者数は600万人で、その前駆段階を高頻度に含む軽度認知障害の「MCI」と呼ばれる方は500万人ですから、合計1100万人。東北地方の全県と茨城県を合わせた人口に匹敵します。75歳を過ぎるころからぐんと増えて、80歳以上では4人に1人が認知症です。要するに、何百万若年性認知症を患っても、安心して仕事を続けられるようになる。社会全体で認知症に向き合うことが大切。人単位の患者さんがいる「コモンディジーズ」で、この人数は糖尿病や高血圧と同じかそれ以上。大学病院だけががんばったところでまったく追いつかないスケールなわけですから、地域全体で対応する医療体制が必要となります。かつて熊本県に着任していたときは、車を使って全県民が30分以内に専門の医療機関(認知症疾患医療センター)にたどりつけるネットワークの構築に携わりました。それは「熊本モデル」として全国でも適用され、現在約500か所が整備されています。06原因物質をいち早く見つけて除去。第2回:認知症
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