がんの自然史(=病気が進行する経過)は20年程度です。つまり、60歳で大腸がんを発症した人は、40歳の頃にはすでにポリープが形成されている可能性があります。こういう方の多くは、長期間にわたり検診を受けていなかったのかもしれません。便潜血テスト、つまり検便をしていればかなりの確率で早期に見つけられますからね。肺がんの場合、かなり小さい病変でもCTでとらえられます。仮に5ミリ未満で見つかったなら、半年ぐ定期健診と併せて、食生活の見直しといった日常の心がけががん対策に直結する。らい経過を見た上で、「大きくなるようなら手術しよう」と判断するのは、がんの自然史の長さに照らせば、なんら問題ありません。がんの発症は、「未病」から「前がん病変」を経て「がん」に至るプロセスをたどります。ポリープが形成された段階では未病を通り越していて、がんが発生しやすい素地ができていると考えていいでしょう。ポリープがない場合でも、大腸の粘膜で遺伝子が変異して、目に見えない10がんになる前に手を打つ。第3回:がん
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