さまざまな医療分野においてめざましい業績を積み重ねてきた大阪大学大学院医学系研究科。ここでは5つのキーワードから、最先端の研究にフォーカス。進化し続ける医療の最前線に迫ります。母体を全身麻酔下で開腹し、露出させた子宮を切開して、胎児の脊髄髄膜瘤を閉鎖。その胎児を子宮内に戻して妊娠を継続させました。大阪大学医学部附属病院胎児診断治療センターの遠藤誠之副センター長らのグループは、妊娠中に脊髄髄膜瘤と診断された胎児に対して、母親のお腹にいる段階で神経の手術を行い、症状の改善に成功しました。先天性の難病である脊髄髄膜瘤は、妊娠中に神経障害が進行することが知られており、生まれた後の治療では神経機能を改善させることはできません。脊髄髄膜瘤の胎児手術は米国で開発され、海外では治療の選択肢として普及しつつありますが、技術的に難しく、かつ高度な周術期管理を要するため、国内では初めての実施になりました。今後、治療の有力な選択肢の一つにしていくためには、出生前検査において妊娠早期での診断率を高めていく必要もあります。24Keyword胎児手術生まれる前に手術で治す。
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