DOEFF vol15
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アブレーションがん悪液質化学治療の副作用である食欲不振を抑えることで、化学治療を継続しやすくなることも、アナモレリン投与のメリットの一つです。進行がん患者に見られる重篤な合併症の一つに「がん悪液質」があります。これは体重の減少と骨格筋量の低下を特徴とし、現時点で有効な薬物治療はほとんどありません。そんな中、食欲刺激、筋肉量増加などの作用を持つホルモンであるグレリンは、治療に活かせる有望な候補と目されています。黒川幸典准教授、土岐祐一郎教授(消化器外科学)らの研究グループが 10 病院で試験を実施したところ、グレリンの受容体に作用する経口薬のアナモレリンを投与した患者群で食欲改善と体重増加が示されました。化学療法に伴う食欲不振や嘔気といった副作用の発生率も低下し、安全性も確認済み。今後は、薬物・栄養・運動を組み合わせた多面的な治療の展開が待たれます。「心房細動」に対して、カテーテルで心臓の内部24心臓の上部がけいれんして不整脈を引き起こすから焼き切り不規則な電気信号が伝わらないようにする「アブレーション」という治療法が近年急速に普及しています。しかしながら、心房細動の原因となる傷んだ心房筋の分布は患者ごとに異なり、画一的なアブレーションでは効果に限界がありました。そこで外海洋平助教、坂田泰史教授(循環器内科学)らの研究グループは、電気的なマッピング技術を利用して、傷んだ心房筋の分布を低電位領域として特定。患者ごとに異なるその領域でアブレーションを行うと治療効果が高まる可能性があることを示しました。将来的なアブレーションのオーダーメイド化も視野に入ってきたといえるでしょう。K e y w o r dカテーテル挿入口低電位領域のアブレーションの効果は、心房筋の傷みが進行している患者に限定されるため、治療対象の患者を絞り込む必要があります。K e y w o r dアナモレリン投与肺静脈の隔離+ 低電位領域の燃灼効果 大肺静脈の隔離のみ効果 小心臓内部を焼き切って電気信号を遮断。たくさん食べればがんと闘える。

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