DOEFF_vol1
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膜12543オートファジー (自食作用)の仕組みオトファジ (自食作用)の仕組みiPS細胞を用いた角膜上皮再生iPS細胞を用いた角膜上皮再生体細胞上皮前駆細胞iPS細胞(人工多能性幹細胞)タンパク質ミトコンドリアなどの小器官37℃20℃培養・純化上皮シートの作製上皮細胞シート移植細胞細胞内膜が、不要になったタンパク質やミトコンドリアなどを取り囲むリソソーム培養角膜自家角膜多様な分解酵素を含んだ「リソソーム」と融合する(皮膚など)Keyword n0.2オートファジー細胞内に膜が出現する細胞の栄養としてリサイクルされる分解酵素がタンパク質など不要物や細菌などを分解するKeyword n0.3再生医療ギリシャ語で「自分を食べる」という意味を持つ「オートファジー」は、細胞内で不要になったものを膜に包んで分解する仕組みです。分解された成分は、細胞の栄養源として再利用されます。生物の身体を構成する細胞は、まるで部品を交換するように常に分解と合成を繰り返しますが、遺伝学の吉森保教授らは、オートファジーは栄養のリサイクルだけではなく、病原性細菌のように害のあるものを除去する役割を担っていることを発見しました(本号表紙写真はその様子)。現在は、心不全や生活習慣病である脂肪肝などの病気、さらには寿命とオートファジーの関わりについても研究が進められています。角膜とは、眼の「黒目」と呼ばれる部分に位置する透明な膜のことです。その周辺部には角膜上皮細胞を生み出す幹細胞があり、常に正常な上皮細胞を供給することで、角膜の透明性が保たれます。しかし、外傷や免疫反応によって角膜上皮幹細胞が完全に失われ、角膜の透明性が著しく低下する疾患があります。これらの疾患に対して、眼科学の西田幸二教授らは、患者さん自身の口腔粘膜の上皮細胞から培養した透明なシート状の細胞を角膜上皮の代わりとして移植する治療法を開発。現在は治験を実施して、再生医療製品として承認されることを目指しています。ほかにも、角膜上皮そのものをヒトiPS細胞から再生する方法も確立。現在は安全性や有効性の最終確認を行っており、今後は臨床研究を進めていきます。DOEFF Vol. 0119細胞は自分を食べる?眼疾患の治療は、新たなステージへ。

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