DOEFF_vol1
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アディポネクチン・T-カドヘリンによるアディポネクチン・T-カドヘリンによる細胞表面コーティング細胞表面コティング卵巣がん線虫症脂肪細胞アディポネクチンT-カドヘリン血管・心筋・骨格筋等Keyword n0.4卵巣がん抗がん剤将来のイメージ抗菌薬イベルメクチンKeyword n0.5メタボと糖尿病・動脈硬化進行した状態で発見されることが多い「上皮性卵巣がん」は、治療の難しい病ですが、この病の新たな治療法を発見したのが産科学婦人科学 木村正教授、小玉美智子助教らの研究グループです。ヒト卵巣がん細胞の中で活発にタンパク質を作る遺伝子の働きを網羅的に調べることで、ある遺伝子を阻害すると、がん細胞の増殖を止められ、細胞死させることを突き止めました。さらに、この遺伝子の働きを抑制するには、以前ノーベル医学生理学賞で話題になった「抗寄生虫薬のイベルメクチン」が有効なことも明らかに。これを現在の抗がん剤と併用することで、腫瘍を抑える効果がさらに高められます。「メタボ」ことメタボリックシンドロームとは、内臓脂肪の蓄積によって複数の生活習慣病が引き起こされる状態です。国内で2000万人の患者さんがいるといわれる糖尿病・耐糖能異常の発生にも、この内臓脂肪の蓄積が大きく関わっています。下村伊一郎教授らの研究室(内分泌・代謝内科学)は、脂肪細胞からアディポネクチンというホルモンが分泌されることを発見したほか、これらがT-カドヘリンという細胞膜タンパク質にバンドエイドのように張り付くことで、動脈などでの傷害部の悪化を防ぎ、臓器を守る役割を果たしていることを明らかにしました。内臓脂肪が増加すると、アディポネクチンの分泌は減少します。これがメタボ状態で動脈硬化のリスクが上がる一因です。下村教授らによるこれらの発見により、メタボの研究は飛躍的に発展しました。20がん治療の鍵は「遺伝子」にありアディポネクチンの役割を発見

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