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大阪大学 大学院医学系研究科 器官制御外科学講座 泌尿器科学 教授定期検診で血液を調べるだけでさまざまな病気が見つかるほか、あらゆる検診データや家族歴、生活習慣から、がんなどの病気になる確率をすばやく割り出せるようになっている。私が属している泌尿器科学は、腎臓、尿管、膀胱、前立腺、男性の生殖器、副腎をとり扱う診療科です。主として手がけているのは前立腺、腎臓、膀胱のがん治療と、腎臓移植になります。なかでも開腹する代わりに、腹部に開けた数カ所の穴から腹腔鏡と専用器具を挿入して手術を支援するロボット「ダヴィンチ」の使用に力を入れているのが特徴のひとつです。腎臓がんに関してはロボットではなく腹腔鏡というカメラをお腹に入れて手術しますが、いずれも根治性は担保しながら痛みや発熱、出血などを抑えて回復を早める「低侵襲性治療」を重視しています。かつては、がんの治療というと根治性を最も重視してきましたが、ある程度の根治性が担保されるようになると、患者さんの生活の質を損ねないように低侵襲性に配慮するようになり、さらには機能温存にも目を向けるようになりました。手術の合併症、尿失禁、尿漏れ、性機能障害、勃起機能障害。こういったものを減らすために、ロボットを活用しながらさまざまな工夫をして、手術の質を高めています。なかでも機能温存手術については、われわれの強みのひとつです。以前から取り組んでいて症例が多い上に、こういった手術に意欲的な医師が多い。だからこそ私たちの強みになっているのでしょう。prospective view062030年にはこうなってる?定期検診のデータから、いろんな病気の発症率を予測。治すのではなく予防。これこそが最高の治療。203002野々村 祝夫

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