DOEFF_vol2
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2030年にはこうなってる?08聴診、レントゲンといったベーシックな診断と同じくらい手軽に、体内の動きの診断が可能になる。生きたままの体内を診る──。これが私たちの仕事です。これまでは身体の中の一部を取り出した切片を顕微鏡に固定して観察するのが主流でしたが、それだと細胞組織も止まっていますから、生きた体内の様子は、観察した静止画の積み重ねから想像するしかありませんでした。しかし現在では生きたままの様子、つまり動き自体を観られます。私が研究してきた免疫細胞などは、特定の場所で機能するものではなく、動き回ることで機能するもののため、動きを追うことが研究する上で非常に大切です。これこそが生きたままの細胞を観る技術を開発してきたモチベーション。なかでも、私が強い興味を抱いてきたのは骨の中での細胞の動きです。究極的には「いつ」「どこで」「なぜ」「どうやって」動くのかという根源的な疑問に迫りたい。「動物」と記すくらいですから、人間を含む生き物の本質は「動く」ことのはずです。動きに対する理解を高めることは人間の身体の成り立ちを理解する上でも重要だと思うのです。すでに骨にある細胞の動きが観られるようにはなりましたが、観られないものはまだまだ存在し患部に検査機器をかざすとすぐに内部を診られる。2030prospective view石井 優大阪大学 大学院医学系研究科感染症・免疫学講座 免疫細胞生物学 教授03

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