DOEFF_vol2
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DOEFF Vol. 0215心臓病で死なない社会。これを作ることが目標です。から意欲的です。より多くの若手に経験を積ませるために、手術件数にもこだわってきました。かつては年間200件ほどだった手術件数は、今では1000件を超えています。件数は増えても、手術の質は落ちていません。アメリカでは心臓手術後の死亡率は2~3%ですが、阪大は0.5%です。これは僕ひとりの手柄ではありません。優秀な部下に恵まれたおかげだと、いつも感謝しています。僕は定年まであと3年ですが、まだ20年は働きたい。やりたいことは山積みです。例えば、人材育成。心臓外科の分野だけではなく、「足」のスペシャリストも育てたい。足の血行が悪くなって死ぬ人は少なくありません。足はとても重要な器官です。アメリカでは「足病学部」という専門学部があるほどメジャーな分野なのに、日本ではいまだに専門家がいません。これをなんとかしたい。心臓手術ももっと効率化したいし、外科医と内科医とがスムーズに連携できる仕組みも作りたい。始まったばかりの再生医療を正しく導くことも僕の役割のひとつでしょう。心臓外科医になってからの37年間、毎日ずっと心臓のことばかり考えてきました。文字通り、心臓バカです。だから心臓の病ならば大抵のものは治せる自負があります。「助けて」と言われたら必ず助ける。それを貫いてきました。心臓外科で治療を受けると、多くの患者さんは見違えるほど元気になります。その姿を見ることが、何よりの喜びです。僕の理想である「心臓の病で亡くなる人がいない社会」を目指して、これからも、ずっと走り続けていきたいですね。19802007大阪大学医学部卒業、同大学第一外科での外科臨床研修終了1983大阪府立母子保健総合医療センターで心臓外科医として勤務1989フンボルト財団奨学生としてドイツMax-Planck研究所 心臓生理学部門、心臓外科部門に留学1992大阪大学医学部第一外科助手2006同大学大学院医学系研究科 外科学講座 心臓血管・呼吸外科 主任教授同講座 心臓血管外科 主任教授。ふくらはぎの筋肉から培養した「細胞シート」を心臓に移植する治療法のヒト臨床試験を開始2015一般社団法人日本再生医療学会 理事長。同研究科 研究科長・医学部長2016株式会社テルモと共同で世界初の心不全治療用再生医療等製品「ハートシート」を開発2018iPS細胞由来心筋シートを用いた臨床研究を開始Biography

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