DOEFF_vol2
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2030年にはこうなってる?脳の活動状況を目にしながらトレーニングをすることで脳の可塑性を促し、麻痺などを治療する「ニューロフィードバック」が一般化している。私たちは脳神経外科医として、脳血管障害や脳腫瘍といった脳や脊髄の病気を治療するだけでなく、脳の機能や働きを解析し、それが失われることで起こる症状を改善する方法を研究しています。脳の機能を解析するツールにはMRIやPET(陽電子放射断層撮影)、MEG(脳磁図)などがあるほか、脳に直接電極を埋め込む「頭蓋内電極」があります。これらのツール自体は必ずしも新しくはありませんが、コンピュータの進歩のおかげでかつては目に見えなかった指標が解析できるようになってきました。どういったときに、どの脳波が強くなるのか。脳のどことどことが関連しているのか。どの部分が、どんな働きをしているのか。脳の各領域間でのやりとりを捉えて処理過程を追求しています。検出した脳波とコンピュータとをつなげる機器「BMI(Brain-machine Interface)」の研究も盛んです。これが進むと「手足を動かしたい」といった脳活動を検知し、失われた機能を補完できるようになるでしょう。このように神経の疾患のある人の脳の活動を捉え、それを補完し日常生活に役立てる技術は、こ脳を変化させることで、失われた機能を取り戻す。2030prospective view貴島 晴彦大阪大学 大学院医学系研究科脳神経感覚器外科学講座 脳神経外科学 教授02

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