DOEFF_vol3
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12高校生の頃は、京都大学でサルの研究をしたいと思っていました。けれど早くに父を亡くしていたから、「経済的な問題もあるし」と思って選んだのが、阪大の医学部だったわけです。実際に先日、京大総長の山極寿一先生とお話した時「サルの研究はカネにならん」と仰ってました。まぁ成績も良かったし、「お医者さん」って今よりも随分とかっこいい職業でしたからね。専門には内科を選びました。血液の研究がしたかったんです。入学当初は、子どもが好きだから小児科もいいかなと思ったけど、子どもの苦しそうな顔を見るのがダメでね。外科という選択肢は、ハナからなかったですね。あまり器用じゃないし、時間をかけてサルの研究では生活が…。そして僕は医者になった。僕の言葉だって信じすぎたらアカン。仲野 徹NAKANO TORU大阪大学 大学院医学系研究科病理学講座 幹細胞病理学 教授初志貫徹なんて無関係。努力は必ずしも報われない。これからの研究は大きく変わらざるをえない──。そう大胆不敵に語るのは仲野徹氏だ。では、氏はどうして医学の研究を続けてきたのか?その歩みを辿りながら、研究の世界をサバイブする極意に迫ります。

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