DOEFF_vol3
17/24

DOEFF Vol. 0315医学はもう、オモロくない?と思います。教授になってからも、研究費がなくて万事休すというときにトップダウンの助成金に助けられたり。何より、3人の師匠をはじめとして、人の縁に恵まれたのが大きいです。これは学会のキャリアパスの講演でも話したことですが、若手研究者にとって「かわいげ」ほど大切なものはありません。いくら努力しても、報われるとは限らんですからね。かわいげがあれば、手を差し伸べてくれる人、評価してくれる人は必ず現れます。僕にかわいげがあったかというと甚だ疑問ですが……。いずれにせよ、いい縁に恵まれたいと思ったら、一度は出身大学の枠の外に出て、多くの人と知り合いになることをすすめます。若いうちから閉じこもっていたらダメ。これは口を酸っぱくして言っておきたいです。僕が学生だった頃に比べると、医学は長足の進歩を遂げました。いろんな意見はあるでしょうけれど、大きな研究テーマは設定しにくくなり、若手の研究者にとっては厳しい状況だと思います。ただ、ビッグデータを利用した研究をはじめとして、まだまだ新しいチャンスはあります。そうした機会をつかむためにも、常に好奇心を磨いておいてください。広く浅くでも構わないから、若いうちにいろんなものに触れて、引き出しを増やしておくべきです。研究だけじゃなくて、遊びでもなんでもいいからとにかく新しいことにチャレンジしてみてください。僕だって5年前から義ぎだ太夫ゆうを始めたくらいです。あなたが医学を好きだと思えるなら、どうぞ医学部へ来てください。ただし、環境問題やAIなど医学以外に取り組むべき重要なテーマはいくらでもありますから、進学先は真剣に考えて決めてほしい。医学部に入ることで得るものはたくさんありますが、失うものだってたくさんあります。まず第一に医学部に入ったら、基本的には医者になる以外に人生の選択肢はないわけです。純粋に医学を面白がれる人、患者さんを助けたいと思える人じゃないと、シンドイと思います。僕自身は、医学の研究はとても楽しかった。さっきも言ったように、これからは斬新な発見が次々に生まれる時代じゃないかもしれない。それでもまだまだ医学は面白いと信じています。まぁ、僕の言葉を信じすぎるのもアカンから、いっぺん自分の頭でよく考えてみること。結局それしかありませんね。19811995大阪大学医学部卒業、附属病院での内科臨床研修1984大阪大学医学部附属癌研究施設腫瘍代謝部門 助手1989ヨーロッパ分子生物学研究所 客員研究員1991京都大学医学部 医化学第一 講師1994ES細胞から血液細胞への分化誘導に成功大阪大学微生物病研究所 遺伝子動態研究分野 教授2004大阪大学 大学院医学系研究科 幹細胞病理学/大学院生命機能研究科 時空生物学 教授2012日本医師会医学賞 受賞2014大阪大学 大学院生命機能研究科 研究科長(2016まで)Biography

元のページ  ../index.html#17

このブックを見る