DOEFF_vol3
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B型肝炎根絶に向けた大きな一歩世界で3~4億人もの患者がいるB型肝炎のウイルス(HBV)には、いまだに決定的な抗ウイルス薬がありません。新たな抗ウイルス薬開発にあたって、上田啓次教授(ウイルス学)らの研究グループが注目したのはHBVのライフサイクル。ウイルスの増殖に直接関与する細胞の遺伝子ではなく、例えばウイルスを細胞内に導くために不可欠な補因子を抑制することで、結果的にウイルスの増殖を予防するアプローチです。ウイルスを導く因子を特定し、その因子を標的とする抗ウイルス薬を開発できれば、HBVの感染サイクル阻止に確実に近づきます。核補因子ウイルスゲノム肝臓細胞ウイルスタンパク質複製・増殖レセプターHBV補因子を阻害する新薬の開発DOEFF Vol. 0319未知なる疾患の解明にむけて互いに密着しあうことで臓器の表面を覆う上皮細胞は、いわば体内の環境を保護するバリアです。ここに異常が生じると、アトピー性皮膚炎や胃炎、脳炎、不妊といった、臓器の病気に繋がります。月田早智子教授(分子生体情報学)らは、「タイトジャンクション」と呼ばれるこの結合部分の分子構成の解明に取り組んでいます。上皮細胞間の結合メカニズムが明らかになることで、バリアの不調が引き起こす病気の治療・予防に繋がるのではないかと期待されています。腸管タイトジャンクション腸壁の上皮細胞上皮細胞断面図体のバリアKeywordn0.2B型肝炎ウイルス(HBV)が細胞内に侵入する際には、補因子の働きが必要。その働きを阻むことで、結果的に体内のウイルス増殖を防げる。密集する上皮細胞のバリアが、臓器内の環境を維持。細胞同士は、タイトジャンクションと呼ばれる部分で結合している。肝炎ウイルスKeywordn0.3

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