DOEFF_vol4
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2050年にはこうなってる?09DOEFF Vol. 04大阪大学が世界の医療をリードする研究拠点となっている。世界各国からさまざまなバックグラウンドを持った優秀な研究者が集まることで、医学の進歩がさらに加速していく。今、医学のボーダレス化が急速に進んでいます。2050年には、日本人の医師が外国で研究し、外国人の医師が日本で研究することが当たり前になるでしょう。一方で国内の医学界に目を向けると、最大の問題となっているのが、基礎医学の研究者の減少です。基礎医学の研究が充実せずして、医学の発展はありません。2050年においても日本が医療の世界をリードしていくには、基礎医学の研究に従事する優秀な人材の確保が急務です。こうした状況を踏まえて、私たち医学科教育センターは、医学部のカリキュラム充実に取り組んできました。研究者を育てるために重要なのは、学部生のうちから研究のおもしろさに気づいてもらうこと。そこで学部の6年間のうち全員が一定期間、授業やテストが一切なく、研究のみに専念できる期間を設けました。さらに2011年からは、基礎医学の研究者を育てるために「MD研究者育成プログラム」もスタート。参加者は学部生のうちから自らテーマを設定し、研究に打ち込めます。国際化に対応すべく留学制度も充実させてきました。世界各国の協定校や、阪大の卒業生が教授を務める海外の大学など、受け入れ先を豊富に取り揃えることで留学を後押ししてきた結果、学生の半数以上が学部生のうちに留学を経験。これら取り組みが実れば、大阪大学で学んだ医師が世界の医療の中心を担う未来がやってくるでしょう。同時に世界各国から大阪大学で医学を学びたいという医師も増えるはず。そのための土壌作りも私たちの役割です。実際に海外からの入学者を積極的に受け入れるべく、大学院では9月入学制度を導入しました。2050年には、世界中の医師が大阪大学に集うことで研究がさらに加速するでしょう。そこから生まれる多彩な成果が、今以上に多くの患者さんを救うことを願ってやみません。Masafumi Wasa2014年より大阪大学大学院医学系研究科 医学科教育センター 教授。専門分野は、外科代謝・栄養学。なかでも、腸管不全の病態解明と治療法の確立に取り組んできた。医学教育のエキスパートでもあり、大阪大学のカリキュラム改革を通じて、基礎医学研究者の育成、臨床実習の充実、教育の国際化などを積極的に推進。2050年の医療を担う研究者を育てるために。和佐 勝史大阪大学 大学院医学系研究科医学科教育センター 教授世界中の研究者が集い、素晴らしい成果を生み出す。09

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