DOEFF_vol4
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062050年にはこうなってる?AIが眼球の状態から、全身の健康状態を自動診断。将来どれくらいの確率で、どんな病気にかかるかも予測されるので、病気の予防、早期治療が容易になる。これまで私たちは角膜移植の研究に取り組んできました。角膜とは人間の黒目にあたる部分を覆う透明な組織で、水晶体とともにレンズの役割を担っています。病気や外傷によって角膜が濁ってしまうと、角膜移植なしには視力を回復させられません。ただし、他人から提供を受けた角膜を移植した場合、拒絶反応が起きやすいことが問題でした。そこで注目されているのが、幹細胞から移植用の角膜を作り出す再生医療です。これならば、拒絶反応のリスクは減ります。私たちは、iPS細胞を用いた角膜全体の培養に世界で初めて成功しました。2016年にはシート状の移植用角膜を作製する技術を確立。2019年から臨床研究をスタートします。この技術が実用化すれば、角膜移植のハードルになっているドナー不足を一挙に解決できることも大きなメリットです。患者さんの負担が少ない移植方法を確立することも私たちのミッション。特に角膜移植の8割を占める、ごく小さな移植片を注入する治療の場合は、手術ではなく注射一本で済ませられれば理想的です。移植用の角膜を大量生産して、世界中に届ける医療システムも構築したい。再生医療を応用した角膜移植が当たり前になる時代は、すぐそばまで迫っています。眼を診るだけで病気が発見できる。西田 幸二大阪大学 大学院医学系研究科脳神経感覚器外科学講座 眼科学 教授iPS細胞で角膜を再生する

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