DOEFF vol5
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悪玉菌日和見菌善玉菌2割1割7割14えていて、これが獲得免疫に指令を出したり、活性化したりすることを突き止めました。研究者としての鋭敏な嗅覚を頼りに、未知の分野に切り込んでいく審良先生の姿を見て「自分もいつかは、先生方とは異なる自分だけの道に進もう」と思いを新たにしたものです。自分の研究分野を決める上でもうひとつ念頭に置いていたのは「今の技術では治せない病気を治すことが君たち使命だ」という岸本先生の言葉です。ゼロからイチを生み出すようなまったく新しい研究で、不治とされてきた病を克服する糸口をつくりたい。そんな思いから、独立後のテーマには根本的な治療方法の確立されていない炎症性腸疾患を選びました。炎症性腸疾患は、免疫細胞が腸などの細胞を攻撃することで、炎症を引き起こす病気です。その発生メカニズムを考える上で、僕はまず腸内細菌と免疫細胞との関係性に着研究という営みに  終わりはありません。挑むのは、不治の病気。腸内細菌が健康を促進する私たちの腸には10~100兆個もの腸内細菌が棲みついています。免疫がこれらの細菌を無闇に攻撃しないための仕組みがあることは本文で説明しましたが、そもそもなぜそのような仕組みが必要なのでしょう。それはシンプルに「腸内細菌が身体にいいから」です。腸内細菌が食事を分解したときに生み出す栄養素を、人体が活用していることは古くから知られてきました。さらに私たちの研究室では、乳酸やピルビン酸が、マクロファージを活性化し、免疫機能を高める役割を担っていることも明らかにしました。ほかにもきっと腸内細菌にはさまざまな役割があると睨んでいます。昔からよく「ヨーグルトは身体にいい」と言いますが、実のところ僕は半信半疑でした(笑)。理屈の明らかでないものを信じられない研究者の性です。けれど研究が進めば「やっぱりヨーグルトは身体に良かった」という結果が出るかもしれない。そのメカニズムが解明される日を楽しみにしています。ヨーグルトはやっぱり身体にいい?Column

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