DOEFF vol6
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102050年にはこうなってる?がんを防ぐために「食育」が重要に。給食も和食を中心とし、生徒一人ひとりの遺伝要因を踏まえて献立がパーソナライズされる。がんは遺伝子の病気である。私の恩師であるバード・フォーゲルシュタイン先生の言葉です。遺伝子のなかには、細胞の増殖を促すものと、細胞の増殖を抑制するものがあり、それぞれがアクセルとブレーキの役割を果たすことで細胞の正常な増殖が保たれています。ところが遺伝子の異常によって、アクセルかブレーキのいずれかが壊れてしまうと、細胞の増殖に歯止めが効かなくなる。これががんという病気の基本的な仕組みです。とはいえ、変異した遺伝子が即座にがん化するわけではありません。最初の変異は、発症の10年以上前に起きることがわかっています。こうした「がんの芽」から、がんへと至るまでの過程は、「ダーウィン的進化」になぞらえられます。がん遺伝子が淘汰され、増殖力の強いもののみが生き残るのです。抗がん剤を投与すれば耐性を獲得したものだけが、転移すれば転移先の環境に適応したものだけが生き残る。その様子は、変異を繰り返して毒性を強めていくウイルスさながらです。だとしたら私たちは、どのようにがんに対抗すればいいのでしょう。まず重要なのは早期発見です。近年では、血液に存在するがん由来の遺伝子を調べる「リキッド・バイオプシー」という検査が注目を集めています。課題は検出感度の低さで、早期がんの発見は難しいとされています。しかし、「食育」の最適化で「食育」の最適化でがんを予防する。がんを予防する。谷内田 真一大阪大学 大学院医学系研究科ゲノム生物学講座 がんゲノム情報学 教授

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