DOEFF vol6
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アドレナリンが子どもの命を救う心肺停止患者の蘇生措置に広く使われているアドレナリン。日本では、病院外で心停止を起こした場合、患者さんが8歳以上であれば救急隊によるアドレナリン投与が認められています。ところが、小児に対するアドレナリン投与の効果が十分に検証されておらず、投与割合も諸外国よりも低いままでした。北村哲久 准教授(環境医学)らの研究グループは、新たな解析手法を用いて、救急隊によるアドレナリン投与が心停止からの回復に大きな役割を果たしていることを明らかに。この知見をきっかけに、より多くの子どもの命が救われるはずです。Keyword小児の心肺停止アドレナリン投与あり11.2%(34/304)01020(%)院外心停止後の自己心拍再開率アドレナリン投与なし3.3%(10/304)DOEFF Vol. 0619鼻の悩みの原因を発見難治性のちくのう症である好酸球性副鼻腔炎。症状が長引くと、鼻の中にポリープが形成され、鼻づまりや嗅覚障害などの症状に苦しめられることになります。これまで鼻ポリープに対しては、手術やステロイドの投与といった治療が行われてきましたが、再発率の高さが課題でした。そこで西出真之助教、熊ノ郷淳教授(呼吸器・免疫内科学)、津田武医師、猪原秀典教授(耳鼻咽喉科・頭頚部外科学)らが注目したのは、病気の進行を促すタンパク質。セマフォリン4Dというタンパク質が、アレルギー反応や鼻ポリープの形成を促していることを解明しました。新たな診断技術、治療法の開発の足がかりとなる発見です。鼻ポリープKeyword国内の大規模データを解析して得られた同研究の成果は、国際心肺蘇生ガイドラインの改定にも大きな影響を与えるはずです。遊離型セマフォリン4Dが上皮細胞に働きかけ、細胞間の結合を緩和。そこから好酸球が浸入しポリープの原因となっていることを明らかにしました。ポリープの形成好酸球遊離型セマフォリン4D膜型セマフォリン4D

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