DOEFF vol6
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医療格差のない未来を人口減少と超少子高齢化によって、社会保障費は増大の一途を辿っています。今後も、医療の質を保ち、格差のない社会を維持していくにはどうすればいいのか。そうした議論に欠かせない研究を進めているのが、磯博康教授(公衆衛生学)らのグループ。自治体が中心となって、組織的・長期的に生活習慣病の予防に取り組むことで、脳卒中の患者数が減少することを立証しました。予防対策の開始から10年で、費用対効果においても優れた結果が現れることも明らかに。長期的視野に立って医療経済政策を施策・立案することの重要性を浮き彫りにしました。運動中にどのようなメカニズムで怪我が発生するのか。そのタイミングは予測できないのか。そんな問題に取り組むのが、松尾知之准教授(運動制御学)らのグループです。これまでさまざまなアスリートと共同で研究を進めてきました。野球選手が患う投球障害も、数ある研究対象のひとつ。ハイスピードカメラを利用した動作分析によって、身体運動を定量的に捉えることで、怪我の発生予測に役立ててきました。こうした知見を生かし、青少年に野球を指導する際の「投球制限」についても、アメリカの研究者とともに議論を進めています。ピッチャーを「故障」から守る20Keyword医療経済政策MLBでは投球制限の勧告指針が定められていますが、日本の選手とは体格が異なるため、国内でも独自の指針の作成が待たれます。2018年には医療機関に支払われた医療費の総額が42兆円を突破。2040年には66兆円を超えるとの試算も示されています。Keywordスポーツ医学

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