DOEFF vol6
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062050年にはこうなってる?脳の活動をリアルタイムで計測。神経活動やタンパク質の増殖に異常があれば、即座に投薬や超音波による治療を開始できるようになる。私の主な研究対象はパーキンソン病です。身体の震えやこわばりなどを引き起こすこの病は、日本では1000人に1人、60代以上では100人に1人が発症するとされています。社会の高齢化に伴い発症率はさらに高まるでしょう。寝たきりの原因にもなることから、一刻も早い病態解明と根本的な治療法の確立が待たれる病のひとつです。パーキンソン病の発症には神経伝達物質が深く関わっています。神経伝達物質とは、脳からの指令を全身に伝えるメッセンジャーのようなもの。これが不足すると、運動障害などのさまざまな症状の原因となります。パーキンソン病の場合は、脳内の「黒質」という部位の神経細胞が減少し、神経伝達物質のひとつであるドーパミンの分泌量が低下することによって身体の震えやこわばりが引き起こされると考えられています。そのため現在主流となっているのは脳内でドーパミンへと変化する「ドパミン製剤」を投与する治療法ですが、これはあくまでも対処療法です。パーキンソン病を根本から治療するには、なぜ黒質の神経細胞が減少するのかを明らかにしなければなりません。私たちは「α-シヌクレイン」というタンパク質がその謎を解く鍵を握っていると考えています。パーキンソン病の患者さんの身体を調べてみると、さまざまな部位の神経に、多くの脳の病が多くの脳の病が根本から治る。根本から治る。望月 秀樹大阪大学 大学院医学系研究科情報統合医学講座 神経内科学 教授

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