DOEFF vol7
10/24

2050年にはこうなってる?08Seiji Takashima2013年より大阪大学大学院医学系研究科 医化学 教授。循環器・心血管分野を専門とし、分子や分子複合体の機能について解析することを通じて、病態解明や治療法の確立に取り組んできた。代表を務める研究課題「新たなる臓器保護剤の開発に向けたATP産生制御の構造生命科学」は、JSTの戦略的創造研究推進事業にも採択された。遺伝子治療薬、化合物、抗体製剤の分野で、大阪大学発の画期的な新薬が登場。さまざまな難病の治療にブレイクスルーをもたらす。近年の医薬品進歩の発達は目覚ましいものがあります。特に自己免疫疾患、血液がん、ウイルス感染症の治療薬は、100%に近い効果を示すものが開発されています。注目すべきは、これら新薬のほとんどが大学などのアカデミアやアカデミア発のベンチャー企業で最初に開発されたこと。しかし、残念ながら多くが海外の事例であり、わが国の創薬、特にアカデミア発の創薬はほとんど成功していません。そんな中、安倍政権時代に立ち上がったAMED(国立研究開発法人日本医療研究開発機構)による助成金は、立ち遅れていたわが国のアカデミア創薬を促進するきっかけになりました。海外に大きく後れをとったとはいえ、公的な化合物ライブラリが充実し、合成展開拠点も稼働を始め、ようやくわが国でも体制が構築されつつあります。またベンチャー支援も徐々に充実し、大学発ベンチャーに少ないながらも資金が提供されるようになってきました。医化学教室でもAMEDの多大な支援をうけ、2019年には10以上の新薬開発を進めるに至りました。創薬ベンチャーも自ら立ち上げ、開発のさらなる加速を目指しています。しかし同時に、大学の組織として、創薬開発を行うのに不十分なところ、障壁となっている部分が多々見えてきました。私は、日本のアカデミアの研究レベルは世界トップだと思っています。だからこそ前向きに、大阪大学の体制拡充に積極的に関与し、画期的新薬の開発を強力に推進していきたい。2050年にはさまざまな新薬が出揃い、多くの「不治の病」が治療できるようになるでしょう。心臓移植内科担当医として多くの重症心不全の子供たちを目前に救えなかった無念を晴らし、一人でも多く難病の子供たちを笑顔にする。これを使命として頑張りたいと思っています。創薬の中心をアカデミアへ︒髙島 成二大阪大学大学院医学系研究科生化学・分子生物学講座 医化学 教授阪大発の新薬が阪大発の新薬が多くの人を救う。多くの人を救う。

元のページ  ../index.html#10

このブックを見る