DOEFF vol7
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102050年にはこうなってる?オートファジーを活性化することで、平均寿命や健康寿命が大幅に長くなる。90代でもフルマラソンなど激しいスポーツにチャレンジできる。これまで20年以上に渡って、細胞のなかで引き起こされる「オートファジー」という現象について研究を重ねてきました。その仕組みを一言で説 明するなら「清掃車とリサイクル施設」でしょうか。細胞のなかには、さまざまな種類の極微細な器官が存在し、それらはまとめて細胞小器官と呼ばれています。そのなかでオートファジーに関わっているのは、オートファゴソームとリソソームという細胞小器官です。先述の喩えでいうなら、清掃車の役割を担っているのがオートファゴソームになります。オートファゴソームは、細胞内のさまざまな物質を運び、リソソームに融合します。リソソームはリサイクル施設の役割を担っていて、運ばれてきたのがタンパク質であれば、消化酵素でそれを分解して、細胞のエネルギー源などとして活用できるアミノ酸へとリサイクルします。これがオートファジーの大まかな仕組みです。ではなぜ細胞は、このような仕組みを必要としているのでしょうか。まず発見されたのは、細胞が飢餓状態に陥ったときに、細胞の一部を分解してエネルギーを生み出す役割です。オートファジーという名称自体も、ギリシャ語の「オート(自分)」と「ファジー(食べる)」に由来しています。次に発見されたのは、タンパク質や細胞小器官をラ90歳を過ぎても90歳を過ぎても元気に生きられる。元気に生きられる。吉森 保大阪大学大学院医学系研究科生化学・分子生物学講座 遺伝学 教授

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