DOEFF vol7
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いつまでも若々しくありたい人へ。培養細胞の観察を続けていると、細胞の増殖が止まる細胞老化という現象が確認できます。これを引き起こす老化細胞は周囲の細胞に対して老化を促進し悪影響を及ぼすため、除去すれば加齢に伴うさまざまな病気を改善する可能性があります。そこで中神啓徳寄附講座教授(健康発達医学)らは、老化細胞除去ワクチンを開発し、糖尿病モデルマウスに投与。その結果、老化細胞が減り、高血糖などの病態の改善効果が得られることが明らかになりました。感染症予防やがん治療に主として用いられてきたワクチンですが、今後は生活習慣病や難治性疾患の治療にも効果を発揮するようになるかもしれません。Keyword老化細胞除去ワクチン抗原抗体標的細胞補体補体膜侵襲複合体標的細胞抗原に抗体が結合抗体に補体が結合し膜侵襲複合体を形成膜侵襲複合体が細胞膜に穴を開け標的細胞は死滅標的細胞DOEFF Vol. 0719「生の声」を研究や治療に活かす。難病・稀少疾患は、対象となる患者さんの数が非常に少ないことから、ひとつの機関で研究を進めるのは難しいという問題があります。そこで加藤和人教授(医の倫理と公共政策学)らは、ネット上で患者さんが症状や日常生活、QOLなどに関する情報を自ら入力する医学研究プラットフォーム「RUDY JAPAN(ルーディー ジャパン)」を運営。これまでに、いくつかの疾患で患者登録が進んでおり、2020年6月には表皮水疱症という皮膚難病についてもスタートしました。この研究では、患者さんと協働で運営する新しい取り組みも実践しています。患者さんとともに歩み、生の声を活かすことで、医療ケアの質向上や効率化が期待されています。患者さんとの協働Keyword老化細胞は糖尿病だけでなくさまざまな疾患への関与が考えられ、臓器別でなく複数の疾患にまたがった治療法の可能性も開けました。いくつかの筋疾患や遺伝性血管性浮腫でも登録が進んでいます。16歳以上(表皮水疱症は18歳以上)の患者さんが対象です。RUDYJAPANプラットフォーム医師・研究者分析登録患者医療の向上

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