DOEFF vol7
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062050年にはこうなってる?胎児のゲノム情報を調べることで、先天性の疾患などが出産前に明らかに。胎内医療も活発になり、出産に伴う母子のリスクが大幅に軽減。産婦人科というのはその名の通り、出産を扱う「産科」と、女性に特有の疾患を扱う「婦人科」のふたつから成り立っています。産科の領域では、この50年で革命的な進歩がありました。最大の変化は、超音波検査を皮切りに、新たな検査技術が続々と登場し、お腹のなかの赤ちゃんを細かくモニタリングできるようになったことです。先天性の障がいの多くも胎児のうちに見つけられるようになったため、出産後すぐに治療できるようになりました。例えば、呼吸不全を引き起こす先天性の横隔膜ヘルニアを患っていることがわかれば、事前に人工呼吸器や手術体制を準備しておけます。これによって、赤ちゃんの救命率は飛躍的に向上しました。最近では内視鏡のような機器を用いて、出生前の赤ちゃんに直接手術を施す胎内医療にも注目が集まっています。私たちのグループが力を注いでいるのは、脊髄の一部に穴が開くことで半身不随などを引き起こす脊髄髄膜瘤に対する手術です。胎内にいるうちに脊髄の穴を塞ぐことで、障がいを未然に防げます。こうした胎児医療は、これからもっと当たり前のものとなっていくでしょう。婦人科の領域で押し進めてきたのは、がん治療です。手術、化学療法、放射線療法、免疫療法などを上手に組み合せながら、がんのタイプに応じて妊娠や出産は妊娠や出産はリスクではなくなる。リスクではなくなる。木村 正大阪大学大学院医学系研究科器官制御外科学講座 産科学婦人科学 教授

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