DOEFF vol8
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3年前からはAIによる皮膚病の画像診断プロジェクトを主導しています。他大学に協力を呼びかけ、現在は50施設ほどに規模が拡大しました。現時点で診断できる疾患数は60程度。皮膚疾患は全部で2,000種類ぐらいあり、実用化までは遠い道のりですが、2050年にはたちどころに病名の細かいタイプまで判別できるようになると期待しています。この10年は、画期的な新薬が次々と開発されています。1980年頃にステロイドの外用薬が登場し、「何でもかんでもステロイドを塗るだけ」の時代が 2010年頃まで続きました。今は薬の選択肢が増え、患者さんごとに最適な治療法を提示できるようになってきたのです。将来は塗り薬だけでなく、服薬や注射により全身を見据えて治療するのが主流となるでしょう。皮膚科は大きな転換期を迎えています。患者さんのQOL向上にも注力したい。そういった思いで日々の研究に取り組んでいます。皮膚を見れば、全身がわかる。藤本 学2019年より大阪大学大学院医学系研究科 皮膚科学 教授。膠原病や皮膚免疫疾患を中心に、自己免疫疾患の病態解明及び治療法開発の研究に従事。皮膚筋炎について、抗TIF1抗体と呼ばれる自己抗体が特異的に見つかることを突き止めた。日本皮膚科学会のAI研究ワーキンググループの代表も務めている。皮膚の画像をAIで解析。病名やその細かいタイプを特定するにとどまらず、その患者に最適な治療方針を示し、医師の判断を助ける。こうげん原病は、治療の難易度が最自己免疫疾患である膠も高い病気のひとつだと私は考えています。全身のさまざまな箇所で発症し、原因もわかっていな いからです。複数の要因の組み合わせによるのか、本当のファクターが突き止められていないのか、はっきりしていません。遺伝や環境の影響は多分 にあるでしょう。ただ、フラグメント(断片)はたくさんあってもストーリーとしてつながらない。そのメカニズムの解明が私の大きな目標です。現在は、膠原病の代表的な疾患である皮膚筋炎の研究に力を入れています。皮膚で起きていることがわかれば全身もわかる。それが私の信条です。古くから「皮膚は内臓の鏡」といわれてきました。皮膚は肉眼で見られ、アプローチしやすいのが特徴です。そのうえ検体も取りやすい。皮膚科医は見るだけである程度状況を判断できます。全身病に対して発信しやすい立場にあるのが皮膚科の強みでしょう。大阪大学大学院医学系研究科情報総合医学講座 皮膚科学 教授09Manabu Fujimoto2050年にはこうなってる?皮膚の画像から皮膚の画像からAIがスピード診断。AIがスピード診断。

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