オーラルフレイルタンパク質を解析新規バイオマーカー「ファイブリン-3」「ファイブリン-3」を欠損したマウスは加齢でCOPDを発症血中のエクソソームCOPDの患者さんヒトの病態解明へむせる舌がうまく回らない食べこぼす口まわりの“ささいな衰え”が積み重なると…健康オーラルフレイルかむ力が弱い心身の機能低下KeywordCOPD(慢性閉塞性肺疾患)病気の有無や進行状態などの指標となる体内の物質を、バイオマーカーと呼びます。「ファイブリン-3」もそのひとつです。オーラルフレイルとは、加齢によって口腔機能が低下してしまった状態であり、栄養不足に結びつくことが知られていました。それとは真逆の状態にあると考えられる肥満、すなわち過栄養でもオーラルフレイルのリスクが高いことを突き止めたのは、髙原充佳寄附講座講師(糖尿病病態医療学)、下村伊一郎教授(内分泌・代謝内科学)らの研究グループ。生活習慣病の患者さん1000名を対象に行った調査では、肥満や糖尿病で口腔機能が低下していることがわかりました。これらの疾患に対する食事指導では「よく噛むこと」が重視されてきましたが、今後は口腔機能に合わせた食事内容の提案など、新たなアプローチが必要となるかもしれません。オーラルフレイルが進行すると、心身の機能が低下してしまうことも。口腔の適切な管理が健康改善につながります。木庭太郎医師、武田吉人准教授(呼吸器・免疫内科学)らの研究グループは、血中を流れるエクソソーム(細胞から放出される微粒子)に着目。慢性閉塞性肺疾患(COPD)における進行度などの指標となる「ファイブリン-3」を新たに発見しました。COPDは、喫煙や大気汚染が原因となり発症する肺の生活習慣病です。呼吸機能の検査によって診断されるものですが、初期は無症状でゆっくりと進行するため、未受診・未診断のまま放置されてしまうケースが多くあります。しかしながら、一旦進行してしまうと元通りには治らないため、早期での発見が重要です。この研究結果により、血液1滴でCOPDを簡便に診断し、治療へとつなげていくことが期待されます。DOEFF Vol. 0819Keyword栄養の摂りすぎにも注意。血液1滴にひそむ肺のSOS。
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