下村 伊一郎大阪大学大学院医学系研究科内科学講座 内分泌・代謝内科学 教授肥満は内臓脂肪型と皮下脂肪型に分けられます。同じ肥満度であっても内臓脂肪が多いと病気になりやすい。世界で初めてそう指摘したのが恩師の松澤佑次先生でした。私はその研究グループで、「脂肪細胞の特徴は何か」「なぜ内臓脂肪がたまると病気になりやすくなるのか」に着目して研究に取り組みました。そして、当時の阪大細胞工学センター・松原謙一先生らとの共同研究の結果、脂肪細胞にはエネルギーを産生する遺伝子が多いことを突き止めます。それ以上に驚いたのは、外部に指令を出す分泌因子がとても多かったことです。つまり、単なるエネルギーの貯蔵庫ではなく、分泌因子によってほかの場所になんらかの働きかけをしているのではないか。それをアディポサイトカイン概念として提唱し、脂肪細胞から分泌されるホルモンであるアディポネクチンを発見しました。肥満でも、特に 内臓脂肪が増えた場合、その血中濃度が低下します。そうすると、糖尿病、高血圧、脂質異常、動脈 硬化、肝硬変、心不全、COPD、骨粗しょう症、腎臓病、がんなどさまざまな疾病を引き起こすことが 判明しました。アディポネクチンの血中濃度の低下が多くの病気の上流因子となっていたのです。アディポネクチンのパートナーとなる細胞膜タンadherinが大事なこともわかってきましパクのT-cカドヘリン全身をスキャニングする装置で内臓脂肪量と血中アディポネクチンの数値を計測。リアルタイムで健康寿命もはじき出され、すぐに必要な対策を打つことができる。062050年にはこうなってる?「肥満症」は「肥満症」は死語になる。死語になる。
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