DOEEF vol9
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DOEFF Vol. 0915く」ことはあります。しかし、それだけでは研究者としては足りません。だから、発想を「定式化」するといい。偉大な発見を成し遂げた歴史上の人物に限らず、学校の先生でも友達でもお笑い芸人でも、どこか面白い、ユニークな見方をする人たちがいますよね。それを分析して、「こういう流れでその発想が生まれる」と定式化してみる。アインシュタイン的発想とかAくん的発想とか。そのようにレパートリーを複数備えておくと、ひとつの現象に対して、自分のひらめきにとどまらず、たくさんの視点をプラスすることができます。他人の考え方を借りることで、発想のバリエーションが増えるのです。私が物理学の学びを生かそうとしたのも同じこと。これは研究者としての「職業的技術」といえるでしょう。若い人たちには、将来なりたい職業のイメージから、今身に付けなければならないものを逆算してほしいですね。学校で教えてくれることはあまり役に立たないかもしれません(笑)。ただ、きっかけは与えてくれるので、自分で考え、すべてを組み立ててほしい。学問とは本来そういうものだと思います。もちろん、自分に素直に、楽しんで取り組むことが一番大事。そうすれば、自ずと独創性が発揮されるものです。・ 第3回日本医療研究開発大賞 内閣総理大臣賞 受賞・日本学術会議会員20202018・ 大阪大学 大学院医学系研究科附属 最先端医療イノベーションセンター長  ︵兼務︶2014・第7回江橋節郎賞 受賞1984・群馬大学医学部卒業1988・東京大学医学部 助手・医学博士︵東京大学︶1991・ハーバード大学 博士研究員1993・杏林大学医学部 講師1998・ 科学技術振興事業団 さきがけ研究21 ﹁素過程と連携﹂領域研究者2004・杏林大学医学部 教授2007・ 大阪大学 大学院医学系研究科  生体システム薬理学 教授Biography

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