DOEEF vol9
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「センサー」の誤作動を防ぐ。私たちの身体では、ウイルスのRNAを感知するセンサー「MDA5」が働き、自然免疫が活性化します。ところが、自分のRNAを異物と誤認して免疫の暴走を招くケースはかねてから指摘されていました。そこで中濱泰祐助教、河原行郎教授(神経遺伝子学)らの研究グループは、RNAの巻き方に注目。本来は右巻きのRNAを左巻きに変える酵素「ADAR1」が適切に作用しないマウスは、免疫が暴走し、先天性免疫異常疾患「エカルディ・グティエール症候群(AGS)」とよく似た脳症が認められました。RNAの巻き方が鍵を握ることがここに示されたのです。AGSの新しい治療法のみならず、ウイルス感染を早期に発見する手法の開発につながる成果といえるでしょう。KeywordRNAの巻き方18さまざまな医療分野においてめざましい業績を積み重ねてきた大阪大学大学院医学系研究科。ここでは5つのキーワードから、最先端の研究にフォーカス。進化し続ける医療の最前線に迫ります。ADAR1によって、右巻きのRNAが左巻きになり、アデノシン(A)がイノシン(I)に換わると、MDA5が感知しなくなります。右巻き2本鎖RNAMDA5自然免疫反応感知活性化左巻きへアデノシンをイノシンへ置換ADAR1AAAIII

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