DOEEF vol9
22/24

抗RGMa抗体治療後脊髄損傷後RGMaグリア細胞抗RGMa抗体脊髄を損傷しても、元の生活に。傷ついた中枢神経を回復させる治療法は、まだ確立されていません。再生を阻む要因として、山下俊英教授(分子神経科学)らのグループは、神経細胞を取り巻くグリア細胞に着目。損傷周囲では、タンパク質の一種「RGMa」がグリア細胞に多く発現し、軸索の伸長を妨げていることがわかりました。RGMaの働きを止める抗体を投与した動物実験では、切断された軸索が再生。運動機能が改善する可能性が示されたのです。研究グループは、製薬メーカーと連携し、脊髄損傷の患者さんに対する臨床試験を2019年から開始。現在は米国やカナダでも有効性と安全性を確認する第二相臨床試験が実施されています。脊髄を損傷しても元の生活に戻れる。それは決して夢物語ではありません。飲酒量が少なくても肝臓に過剰な脂肪が蓄積する脂肪肝を「NナッフルディーAFLD」といいます。患者数は世界の総人口の約25%、日本でも1,000万人以上と推定され、悪化すると肝硬変や肝がんのおそれも。小玉尚宏助教、竹原徹郎教授(消化器内科学)らの研究グループが主導する国際共同プロジェクトは、それに立ち向かうべく奮闘しています。日本とヨーロッパの500名を超えるNAFLD患者の肝臓組織を解析し、分泌タンパク質「トロンボスポンジン2」が疾患の進行度を示す指標となることをつきとめました。組織の一部を取り出して調べなければならなかった従来の診断法に代わり、簡易な血液検査として臨床で応用されれば、早期治療や適切な経過観察につながり、予後の改善も見込めます。簡易な検査で、肝臓を守る。20トロンボスポンジン2血清バイオマーカー単純性脂肪肝非アルコール性脂肪肝炎(NASH)非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)肝硬変NASH診断肝がん肝線維化診断合併症・予後予測Keyword中枢神経の再生肝臓は「沈黙の臓器」。自覚症状に乏しいのがNAFLDの治療の難しさです。バイオマーカーを活用した早期の介入が求められます。ダメージを受けた神経軸索の再生を阻むRGMa。その作用を止める抗RGMa抗体を投与すると、損傷した箇所の修復が促されます。NナッフルディーAFLDKeyword

元のページ  ../index.html#22

このブックを見る