DOEEF vol9
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062050年にはこうなってる?全身を1回スキャンするだけで、すべての部位のがんを即座に割り出す。がんは早期発見が標準に。近年のキーワードは「遠隔」です。現在、私たちの教室の5人が週1回、自宅で読影を行っています。技術的にも、まったく問題ありません。どこにいても正確にできますから、読影は遠隔にうってつけです。さらに、阪大病院と他の施設で、CTやMRIなどの機器のサーバーをつなぐシステムを15年ほどかけて構築しました。検査は駅前のクリニック、診断は阪大病院。そんな分担が可能となったのです。もっとスケールの大きな事例として、アメリカで撮った夜間救急の画像データをすぐさま昼間のインドに送って読影することも実際に行われています。労働環境の改善や医師不足の対策にもつながる仕組みといえるでしょう。最近はAIに関する共同研究講座も立ち上げました。画像診断はAIを活用しやすい領域です。すでに臨床現場で活用する動きが進んでいて、阪大病院の端末にも導入されています。ただ、AIにも課題はあって、あくまでシングルタスクしか処理できません。読影は本来、放射線科医が画像からさまざまな所見を拾い上げるマルチタスクです。AIにはひとつひとつ勉強させ、教育しなければなりません。人間が作る教材の出来が悪いと、AIの出来も悪くなる(笑)。育ての親次第というわけです。それに人間が教えるのですからなかなか人間は超えられない。でもサポートはしてくれる。医がん検診は、がん検診は、スキャンするだけに。スキャンするだけに。富山 憲幸大阪大学大学院医学系研究科放射線統合医学講座 放射線医学 教授

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