武田 理宏大阪大学大学院医学系研究科情報統合医学講座 医療情報学 教授上下水道を整備すると感染症の予防につながります。それと同じように、医療情報を「インフラ」と して整備すれば、そこから生まれる新たな知見が患者さんはもちろん医療者にも還元されて、医学・医療の発展に寄与できるはず。そういう考え方に基づき、私は医療情報の世界に飛び込みました。臨床の現場でどんなデータをどのように拾っていくかがポイントです。例えば、薬を飲み始めた日とやめた日、そして肝機能の数値の推移。これらを組み合わせると、お薬による有害事象が起きたことが把握できます。阪大では大阪臨床研究ネットワーク(OCRネット)を組織し、地域の19の医療機関からリアルワールドデータを収集する仕組みを構築しています。OCRネットでは、電子カルテと連携し、簡便な方法で患者さんの臨床情報やCTやMRIなどの画像をデータセンターに収集することが可能です。個人的にはAIにも興味があります。医療情報学教室として取り組みたいのは自然言語処理です。画像診断レポートの解析はかなりうまくいっていて、高い精度で正しく意味は取れています。画像診断レポートは、放射線科の先生がほかの診療科に向けて書いているものだから、言葉が整っているので、AIも処理しやすいわけです。はじめて「がん」と診断されたレポートを探し出すことができれば、医療情報銀行の「通帳」を自宅で気軽にチェック。自己健康管理が容易になる。ビッグデータとして医療全体の発展にも役立つだろう。102050年には2050年にはこうなってる?こうなってる?医療情報が、医療情報が、生活のインフラに。生活のインフラに。
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