オキシトシン絶滅危惧種ES細胞iPS細胞PGC様細胞研究グループは、キタシロサイに近いミナミシロサイのES細胞の作製から着手し、PGC様細胞への誘導に成功。その手法をキタシロサイのiPS細胞に応用しました。卵巣光を照射し信号を測定本研究は、脳内におけるオキシトシンの働きの解明を目指すもの。生きたマウスに光ファイバーを挿入し、経時計測に成功しました。光ファイバーオキシトシンセンサー「幸せホルモン」と呼ばれるオキシトシン。私たちの豊かな感情や身体の健康維持に深く結びついているとされる脳内物質です。従来、生きた動物の脳内からオキシトシンを正しく検知することは困難でしたが、稲生大輔特任講師、日比野浩教授(統合薬理学)らの研究グループがこの難題に挑んでいます。オキシトシンの濃度に応じて明るさが大きく変化するタンパク質を使い、高感度に検出できる蛍光センサーを開発。マウスの脳に用いたところ、外界からの刺激によって光が変化する様子の観測に成功しました。脳内の情報処理メカニズムを紐解くための貴重な第一歩。今後、自閉スペクトラム症や統合失調症といった精神疾患の研究にも新たな展開がもたらされるはずです。さまざまな細胞に分化するのがES細胞やiPS細胞の特色。林将文特任研究員、林克彦教授(生殖遺 伝学)らの研究グループは、絶滅危惧種であるキタシロサイのiPS細胞から、卵子のもととなるPGC様細胞(始原生殖細胞様細胞)の作製に世界 で初めて成功しました。野生動物を保護する国際プロジェクトに加わった同グループが、マウスやヒトの細胞で積み上げてきたノウハウを活かしてチャレンジし、実を結んだものです。次に求められるのは、PGC様細胞を卵子や精子に成熟させる こと。実現すれば、すでに確立されているキタシロサイの体外受精技術を用いて、絶滅を食い止め ることができるでしょう。将来的に、ほかの哺乳 類も同様の手法で救える可能性が見えてきました。KeywordKeywordDOEFF Vol. 1119「幸せホルモン」を光で検知。iPS細胞が、絶滅を食い止める。
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