DOEFF vol11
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インフラマソームKeyword胸腺と自己免疫疾患神経筋分子異常発現遺伝要因T細胞活性化B細胞活性化胸腺内で「神経筋胸腺髄質上皮細胞」が発現し、自己抗体を産生する環境が作り出されることが、重症筋無力症の一因です。腫瘍自己抗体重症筋無力症HDAC6(タンパク質の一種)ラギュレーター複合体NLRP3インフラマソームが活性化するプロセスで合成型ビタミンEを投与すると、炎症が抑えられます。危険信号を察知NLRP3(タンパク質の一種)NLRP3インフラマソームが活性化リソソーム抑制合成型ビタミンEを投与炎症応答痛風身体に異物が侵入すると、タンパク質複合体の「インフラマソーム」が細胞内で活性化し、それを排除します。その仕組みの代表例が「NLRP3インフラマソーム」。さまざまな感染症や自己免疫疾患への関与が指摘されているものです。■本考平特任助教、高松漂太講師、熊ノ郷淳教授(呼吸器・免疫内科学)らの研究グループは、ラギュレーター複合体という分子がインフラマソームの活性化を制御していることを突き止めました。さらに、インフラマソームに作用する別のタンパク質を発見し、マウスで作用を阻害すると、痛風の炎症が軽減されることも明らかに。COVID-19感染症の重症化、動脈硬化症、アルツハイマー型認知症など、幅広い疾患の病態解明に向けた確かな一歩となりました。胸腺腫は胸腺上皮細胞から発生する腫瘍。これと合併率が高いことで知られる重症筋無力症は、自らの神経筋関連タンパク質を攻撃する抗体が作られることにより、全身の筋力低下などを招く自己免疫疾患です。合併しやすいメカニズムは不明でしたが、安水良明大学院生、奥野龍禎准教授(神経内科学)らの研究グループがその■に迫りました。胸腺内の腫瘍細胞で発現している遺伝子を解析し、本来は自己に反応するT細胞を取り除く胸腺の細胞に変化が生じていることを突き止めます。さらに、遺伝要因が加わって条件が■うと、T細胞やB細胞などの免疫細胞が活性化することが明らかに。活性化を抑える因子をターゲットにした新規治療薬の開発も夢ではないでしょう。Keyword20免疫を制御して、炎症を軽減。自己免疫疾患のメカニズムに迫る。

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