新谷 康日本人の死因第1位はがん。部位別のトップは肺です。肺がんは、それだけ医療としてしっかり対応しなければならない疾患だといえます。呼吸器外科の領域では、2018年からロボットの 「ダビンチ」を使った手術が保険適用に。ダビンチなら、人間が手術するときに避けられない「手振れ」を装置が補正してくれて、非常に精密な動きが可能です。開胸する代わりに、上半身の数カ所に小さな穴を開けるだけで済みますから、患者さんの負担も少ない。今後もロボット技術は進化するでしょう。CTをはじめとした画像技術の進展も、肺がん治療に大きく貢献しています。現在の画像ソフトはたいへん優秀で、患部を立体で捉えたり、血管の位置を細かく把握することができ、手術前の緻密なシミュレーションが可能になりました。がんを切除する際は、なるべく小さい範囲にとどめたいもの。肺は切除量が多いほど術後に息切れしやすくなり、QOLへの悪影響が懸念されますから。従来は上葉、中葉、下葉といった「葉」単位での切除が標準でしたが、精緻な画像のおかげで、それにとらわれず、切除すべき箇所を絞り込めるようになりました。肺がんの手術で亡くなってしまう確率は、25年前だと1.5%ほどでしたが、現在は0.4%。初期のⅠ大阪大学大学院医学系研究科外科学講座 呼吸器外科学 教授手術もリモートの時代に。執刀医は遠隔地で端末に向かう。世界中の名医の施術をどこにいても受けられるようになる。062050年にはこうなってる?たくさんの「武器」で、たくさんの「武器」で、肺がんに打ち克つ。肺がんに打ち克つ。
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