一般的にがんの治療というと、手術や抗がん剤、放射線治療をイメージすると思います。近年では第4の選択肢として免疫療法が加わりました。免疫療法の最大のメリットは副作用が少ない点です。よく知られている薬剤として、京都大学の本庶佑先生のチームが開発に貢献したオプジーボが挙げられるでしょう。私の研究室では、そのオプジーボに続くような薬を開発するべく、日々努力を積み重ねています。免疫力を生かした治療を注射一本で。小児がんの子どもたちも救える。私が注目しているのは制御性T細胞(Treg)です。免疫とは、ウイルスや細菌といった外敵を攻撃して排除する仕組みのこと。ただ、その攻撃性が自分に向いたときには自己免疫疾患を引き起こします。攻撃を担うT細胞やB細胞と、それとは逆にブレーキをかけるTregのバランスが免疫の要です。Tregが弱くなると攻撃力が増して自己免疫疾患を起こしやすくなり、逆にTregが強くなると攻撃力が低下する分、感染症などにかかりやすティーレグ06注射1本で「お大事に」の時代がやってくる。第3回:がん
元のページ ../index.html#8