公共の場所へのAEDの設置台数の増加に伴う、一般市民による除細動の実施によって心肺機能停止傷病者の救命者数が増加したことを実証
Kitamura T, Kiyohara K, Sakai T, Matsuyama T, Hatakeyama T, Shimamoto T, Izawa J, Fujii T, Nishiyama C, Kawamura T, Iwami T. Public-access defibrillation and out-of-hospital cardiac arrest in Japan. The New England Journal of Medicine 2016;375(17):1649-1659.
背景 より早期のAEDによる電気ショックの実施は、院外心室細動心停止患者の生存を改善するのに重要であり、公共の場所に設置された自動体外式除細動器（automated external defibrillator: AED）の使用することで心室細動患者への電気ショックまでの時間を短くすることが可能となる。しかしながら、院外心室細動心停止患者に対する公共の場におけるAED普及効果については国家規模では十分に評価されていない。
方法 総務省消防庁が全国の救急搬送された心肺機能停止傷病者を対象として実施している調査データから、2005年から2013年までの、蘇生を試みられた市民目撃の院外心原性心室細動患者を登録した。主要な転帰は、心停止1か月後の脳機能カテゴリーで1もしくは2で定義される神経学的に良好な転帰とし、市民による電気ショックによって寄与された神経学的に良好な転帰を持つ1か月生存者数を見積もった。
結果 43,762人の市民目撃の院外心原性心室細動患者において、4,499人（10.3%）が市民による電気ショックを受けた。市民除細動を受けた人の割合は、2005年の1.1%から2013年の16.5%まで増加した（傾向性P<0.001）。市民による電気ショックあり群の神経学的に良好な転帰を持つ1か月生存者の割合は、電気ショックなし群より有意に高かった（38.5% 対 18.2%;プロペンシティスコアによるマッチング後の調整オッズ比1.99、95%信頼区間 1.80-2.19）。市民による電気ショックによって寄与された神経学的に良好な転帰を持つ1か月生存者の見積もり数は、2005年の6人から2013年の201人まで増加した（傾向性P<0.001）。
結論 我が国において、市民によるAED電気ショック実施が増加したことは、病院外心室細動患者の心停止後の神経学的に良好な転帰を持つ生存者数の増加に役立った。
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