2015.8.13 倫理審査委員会承認
IRB承認対象 | 1975(S50)年以前からの尼崎市内居住者をコホート対象者として、コホート対象者内における中皮腫死亡例(症例)を同定し、2002〜2007年までの間に既に環境省・兵庫県および尼崎市による遺族への聞き取り調査が終了している分と合わせて2012年までに同意が得られ、遺族への聞き取り調査を実施した中皮腫死亡例を確定する。中皮腫死亡例の死亡時点で生存が確認される、性、年齢(生年月)でマッチングを行った対照者を、中皮腫死亡例1例につき3例の割合で設定し、その家族・遺族への接触同意が得られた対象者(対照者の家族・遺族)に対して聞き取り調査を実施する。 |
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研究機関 | 大阪大学大学院医学系研究科環境医学、兵庫医科大学医学部環境保健学、奈良県立医科大学医学部産業疫学、産業医科大学産業保健学部労働環境学、立命館大学文学部地域研究学域、尼崎市保健所 |
目的 | 尼崎市における一般環境由来の石綿曝露と中皮腫死亡との関連をコホート内症例対照研究の手法を用いて検討する。 |
方法 | 1975(S50)年以前からの尼崎市内居住者をコホート対象者として、コホート対象者内における中皮腫死亡例(症例)と性・年齢をマッチした生存例(対照)との間で、クロシドライトの市内発生源として最大規模であったクボタ旧石綿工場所在地と対象者の尼崎市内居住地との距離や居住期間等を比較することにより、一般環境由来石綿曝露と中皮腫死亡との関連を検討する(コホート内症例対照研究)。 |
意義 | 尼崎市(2010 年国勢調査人口45 万人、全国の0.35%)においては2002-2010 年の9 年間で年平均22 例(男15 例、女7 例)の中皮腫死亡が観察されており、これは同期間の全国年平均1023 例(男809 例、女214 例)の2.2%(男1.9%、女3.2%)に相当する。職業性曝露による中皮腫を含む数値ではあるが、地域レベルとしては、世界的にみても稀にみる高頻度の中皮腫発生が観察されており、この地域における石綿曝露状況には特殊な事情があったことが強く示唆される。このような不幸な事象について、後世に対してリスク評価につながる記録を可能な限り正確に残すことが重要である。こうした調査は、旧石綿工場周辺における中皮腫過剰発生が終息するまで継続することが必要であり、今回の調査により、その基盤を構築することができる。 |
個人情報の扱い | 1.コホート対象者には個人番号(連番)を付与し、個人情報(氏名、生年月日、詳細住所、電話番号)を含む名簿は尼崎市で管理する。データセンターでは、個人情報を含まない対象者リスト(連番付き)を管理する。 2.データセンターにおいて対照候補を選択し、その遺族・家族のうち接触同意が得られた対象者についてのみ尼崎市より個人情報(氏名、詳細住所、電話番号など連絡先の情報)の提供を受ける。 3.接触同意により尼崎市より提供された個人情報については、ネットワークから切り離されたコンピューターを使用して、外部記憶媒体(USBなど)に記録し、それに鍵をかけて厳重に保管する。 |
問い合わせ先 | 大阪大学大学院医学系研究科 環境医学 教授 祖父江 友孝 連絡先電話番号 06-6879-3920 |
審査結果通知書 |
大阪大学医学部附属病院の倫理審査委員会(IRB)承認課題