最終更新日
2020.03.17

1964年東京五輪に出場した日本人選手の生命予後研究

がん対策・疫学
背景

海外における先行研究では、オリンピック代表選手などのエリートアスリートは、一般人口に比べ長生きする(死亡率が低い)ことが分かっています。しかし、どのような要因がアスリートの生命予後に影響するのかといった疑問について、未だ明らかに示された研究はありません。

わが国では、日本スポーツ協会(JSPO、(旧日本体育協会))が国立スポーツ科学センター(JISS)と協働して、1964年のオリンピック大会に出場した日本人選手380名(男性314名、女性66名)を対象に、大会以降4年毎にアンケート調査と体力測定を実施してきました(「1964年東京五輪記念体力測定」と呼ばれる)。大会出場時点をベースラインとする、運動習慣、生活習慣、及び健康状態のほか、身長・体重・血圧をはじめ、握力・肺活量・最大酸素摂取量といった体力・運動機能の追跡が行われています。

研究目的

本研究では、1964年東京五輪記念体力測定のデータを利用し、生死情報に基づく生命予後評価を行います。競技種目のちがいや引退後の生活環境などの要因が、その後の疾病リスクや健康寿命にどれくらいの影響を与えるかについて、分析疫学手法を用いて明らかにします。

対象

1964年東京五輪大会に出場したオリンピック代表選手のうち、記念体力測定事業に参加協力した日本人選手380名(男性314名、女性66名)を対象に行われた調査「1964年東京五輪記念体力測定」の匿名化後のデータを用いて分析を行います。

研究方法

デザイン:後方視的コホート研究。国の基幹統計(具体的には人口動態統計)を用い、性別・年齢階級別死亡率(5年間平均値)に基づく標準化死亡比(SMR)を求め、さまざまな要因で層別比較を行います。次に、さまざまな要因(BMI、握力、筋力等の体力測定項目や、引退後の運動習慣、生活習慣など)におけるカテゴリ毎の関連の強さをコックス比例ハザードモデルやポアソン回帰分析といった多変量解析の手法を用いて評価します。

硏究の意義

五輪出場選手の生命予後に関連する要因を検討することで、エリートアスリートの育成や引退後の健康・疾病リスク評価に貢献するとともに、「健康寿命の延伸」をめざす我が国におけるスポーツ振興と健康増進政策に重要な示唆を与える科学的論拠を示すことが期待される。

利益相反

該当なし

個人情報の取り扱い

該当なし

研究責任者   (情報管理者)

祖父江友孝 大阪大学大学院医学系研究科教授(社会医学講座環境医学)

研究分担者

喜多村祐里 JSPO日本スポーツ協会スポーツ医・科学研究員(大阪大学招へい教授)

竹内太郎 大阪大学大学院医学系研究科MD研究者育成プログラム学生

研究代表者連絡先

〒565-0871 大阪府吹田市山田丘2-2

大阪大学大学院医学系研究科環境医学

TEL: 06-6879-3922