最終更新日
2024.11.01

日本人肺がん患者における動脈血栓塞栓症の罹患に関する研究

研究テーマ
1. 研究名称

日本人肺がん患者における動脈血栓塞栓症の罹患に関する研究

2. 研究概要・目的

肺がんは、世界的に最も罹患率が高く、がん関連死亡の主因となる悪性腫瘍の一つである。近年、標的治療や免疫療法の進歩により、肺がん患者の生存期間が延長しているが、それに伴い合併症の管理が重要な課題となっている。特に、動脈血栓塞栓症(ATE)はがん患者の死亡リスクを高める要因であり、肺がん患者においても罹患率が高いことが示されている。しかし、このリスクを促進するメカニズムや、リスクの高い患者の特定、さらにリスク軽減のための最適な管理戦略については、依然として不明な点が多い。さらに、これまでの研究は主に欧米諸国で行われており、日本における肺がん患者のATEリスクに関する研究は限られている。本研究の目的は、日本における肺がん患者におけるATEの罹患率を推定し、その特徴を明らかにすることである。

3. 研究期間

研究許可日~2026年3月31日

4. 研究責任者

大阪大学大学院医学系研究科環境医学 北村 哲久

5. 研究の実施体制

研究責任者

大阪大学大学院医学系研究科環境医学・准教授 北村 哲久

研究分担者

大阪大学大学院医学系研究科環境医学・特任助教 査 凌

大阪大学大学院医学系研究科環境医学・招へい教員 下村 良充

6. 研究の資金源および利益相反

本研究は、肺がん治療薬の製造販売企業であるアストラゼネカ株式会社から、研究の実施に必要な資金の提供を受け同社との共同研究として実施されます。

研究を行うときにその研究を行う組織あるいは個人(以下「研究者」という。)が特定の企業から研究費・資金などの提供を受けていると、その企業に有利となるように研究者が研究結果を改ざんあるいは解釈したり、また都合の悪い研究結果を無視するのではないかという疑いが生じます。(こうした状態を「利益相反」といいます。)

この研究における利益相反は、大阪大学大学院医学系研究科・医学部臨床研究利益相反審査委員会による審査を受け、承認を得ています。我々はその審査結果に基づき、利益相反を適正に管理して研究を行います。

7. 研究対象者

日本の医療データベース(JMDC、DeSC)において、2014年4月1日から2021年3月31日までに肺がん(ICD-10コード「C34」)の確定診断を受け、診断後6ヵ月以内に治療を受けた20歳以上の患者。

8. 研究に用いる試料・情報の種類
  • アウトカム項目:

ATE(虚血性脳卒中、心筋感染症)

 

  • 人口統計学に関する項目:

年齢、性別

 

  • 肺がんの特徴に関する項目:

組織学的サブタイプ(非小細胞肺がん(腺がん、扁平上皮がん、大細胞がん、その他)、小細胞肺がん、不明)、脳転移

 

  • 肺がん治療に関する項目:

手術、全身療法、化学療法、分子標的治療、免疫チェックポイント阻害剤、放射線療法、その他

 

  • 併存疾患に関する項目:

心不全、高血圧症、心房細動/粗動、冠動脈疾患、静脈血栓塞栓症、慢性腎臓病、糖尿病、脂質異常症、慢性閉塞性肺疾患、認知症

 

  • 薬歴に関する項目:

抗血小板薬、抗凝固剤、スタチン、降圧剤、利尿剤、抗糖尿病薬

 

  • 病歴に関する項目:

ATE(虚血性脳卒中、心筋感染症)

9. お問い合わせ先

大阪大学大学院医学系研究科環境医学・准教授 北村 哲久

連絡先:06-6879-3922