最終更新日
2015.09.28

食事由来アクリルアミドばく露量推定方法の開発と妥当性の検討および 大規模コホート研究に基づく発がんリスクとの関連に関する研究

2015.9.28 倫理審査委員会承認

IRB承認
対象

本研究は既存のコホート研究および先行研究の対象者データを活用して実施する。

コホート研究データ

JPHC Study、検診受診者妥当性研究、JPHC-NEXTのDR、FFQデータ、全部位および主要部位別(胃、大腸、肺、肝、乳房など)の10年追跡がん罹患データなどを活用する。

先行研究データ

相模女子大学における先行研究「日本人におけるアクリルアミド摂取量と寄与食品の検討」では、神奈川県および東京都町田市に在住の20~75歳男女から同意を得られた者を対象とした。研究参加募集のチラシなどを通してボランティアを募り、対象候補者に参加依頼の文書を送付した。

同意の得られた者を最終的な調査対象者とした。「相模女子大学・相模女子短期大学部ヒトを対象とする研究に関する倫理審査委員会」の承認を受けて実施された。

研究機関

大阪大学大学院医学系研究科環境医学、相模女子大学

目的

日本人におけるアクリルアミド摂取と全部位および主要部位別の発がんリスク評価との関連を検討することを最終的な目的とする。相模女子大学における先行研究「日本人におけるアクリルアミド摂取量と寄与食品の検討」において作成したアクリルアミド含有量データベースおよび14名を対象に収集した陰膳法による食品サンプル、秤量法食事記録(DR)、食物摂取頻度調査票(FFQ)の各試資料、また、JPHC Study、検診受診者妥当性研究、JPHC-NEXTなど既存のコホート研究データを用いて検討を行う。

方法

先行研究「日本人におけるアクリルアミド摂取量と寄与食品の検討」における対象者14名より収集した陰膳法食品サンプル、DR、FFQ結果および作成したアクリルアミド含有量データベースを用いて、以下の検討を行う

①食事由来アクリルアミドばく露量を、陰膳法食品サンプルから分析する(分析値)

食品サンプルは料理単位毎に収集しているため、陰膳と同時に実施したDRデータをもとに料理の調理法毎(焼く、炒める、揚げるなど)に分類し、分析を行う食品サンプルを抽出する。これにより家庭での加熱調理過程におけるアクリルアミド生成量を調理法毎に明らかにする。

②食事由来アクリルアミドばく露量を、DRデータから推定する(推定値)

DRで記録された食品の全ては、食品成分表掲載の食品に分解・コード化する。このデータに、農林水産省や厚生労働省等による食品中のアクリルアミド含有量の公表データを基本として作成した食品中アクリルアミド含有量データベース、および①において分析した家庭での加熱調理法毎のアクリルアミド生成量を乗じることにより、DRからのアクリルアミド摂取量の絶対値を推定する。

③食事由来アクリルアミド長期ばく露量を、FFQを用いて推定する(推定値)
収集したFFQデータに、②と同様に食品中アクリルアミド含有量データベースおよび家庭での加熱調理法毎のアクリルアミド生成量を乗じることにより、FFQからの食事由来アクリルアミド長期ばく露量を推定する。

意義

本研究では、日本人におけるアクリルアミド摂取と全部位および主要部位別の発がんリスク評価との関連を検討することを最終的な目的として、相模女子大学における先行研究「日本人におけるアクリルアミド摂取量と寄与食品の検討」において作成したアクリルアミド含有量データベースおよび14名を対象に収集した陰膳法による食品サンプル、秤量法食事記録(DR)、食物摂取頻度調査票(FFQ)の各試資料、またJPHC Study、検診受診者妥当性研究、JPHC-NEXTなど既存のコホート研究データを用いて検討を行う。陰膳法食品サンプルからの家庭における加熱調理法毎のアクリルアミド含有量の把握や、DRおよびFFQからの食事由来アクリルアミドばく露量の推定方法を開発する。さらに、FFQによるアクリルアミド摂取量推定方法の妥当性・再現性の検討を行ったうえで、JPHC Studyにおける約14万人の対象者追跡データを用いて食事由来アクリルアミドばく露量とがん罹患リスクとの関連を検証する。本研究により日本人におけるアクリルアミド摂取と全部位および主要部位別の発がんリスクとの関連の検討・評価のための合理的な手法が示されることで、日本人全体の健康の向上への貢献および社会的利益が得られる可能性が高い。

個人情報の扱い

本研究は相模女子大学における先行研究「日本人におけるアクリルアミド摂取量と寄与食品の検討」および既存のコホート研究データ(多目的コホート研究〔JPHC Study〕、検診受診者妥当性研究、次世代多目的コホート研究〔JPHC-NEXT〕)を用いて検討を行うため、研究対象者のデータは既に「連結可能匿名化」が行われたものを用いる。対応表に関してもそれぞれの研究において厳重に管理されているため、本研究における対応表の管理は不要である。

問い合わせ先

大阪大学大学院医学系研究科 環境医学 教授 祖父江 友孝

連絡先電話番号 06-6879-3920

大阪大学医学部附属病院の倫理審査委員会(IRB)承認課題