ハワードヒューズ医学研究所 (+大学院生募集)

 11月30日の朝日新聞朝刊に、柳澤桂子さんの「宇宙の底で」という連載のエッセイが掲載されていました。 取り上げられていたのが、表題に挙げたアメリカの「ハワードヒューズ医学研究所(英語ではHHMIと略される)」です。 HHMIは、大富豪であったハワードヒューズが設立した医学・生物学研究のための財団で、アメリカを中心に世界中の 優秀な研究者に対して、潤沢な額の研究費を出しています。重要なことは、才能ある研究者を見出す仕組みを 持っていることで、結果としてノーベル賞級の研究が次々に生まれています。私もイギリス留学時代からHHMIの存在は 知っており、この人はすごい、と思う研究者が軒並みHHMIにサポートされているのにはいつも感心していました。 また、目の前で医学に直結する分野だけでなく、細胞や個体発生などの基礎研究分野の研究者がしっかりとサポートされて いることも特色です。具体例を一つだけ挙げておくと、生命誌研究館にいた頃、季刊誌『生命誌』のためにインタビューした カリフォルニア大学のCornelia Bargmann準教授(現・ロックフェラー大学教授)は、線虫の嗅覚の研究をしていました。

 ところで、ここで言いたいのは、このハワードヒューズ医学研究所が、科学コミュニケーションについても非常に 優れた活動をしているということです。かつて、イギリス留学時代に研究室の教授宛に届いていたニュースレターを見て、 その見事さに感心したという記憶があるものの、しばらく詳細をフォローしていなかったのですが、最近 Webサイトを見て、 その活動の充実ぶりに驚きました。ニュースレターの発行だけでなく、一般市民向けのレクチャーなども活発に行っており、 レクチャーの一部はWeb上でビデオとして見ることができます。 決してなんでも西欧のものが良いとは思いませんし、日本でも随所で活発な活動が始まっていることは 言うまでもありません。けれども、研究機関・研究組織による社会への情報発信・社会との コミュニケーションに関しては、米国やヨーロッパに、参考にすべき例がまだまだ多く あるように思います。

 話題は変わりますが、ホームページの Informationのコーナーに博士後期課程の学生募集のお知らせを掲載しました。 生物学・生命科学系の修士課程を終えた方、あるいは修了予定という方に応募していただきたいと考えています。試験の内容は募集要項に掲載されますが、 英語と修士論文に関する発表が基本になります。希望の方は受験前に私に連絡を取っていただく必要がありますので、是非、 気軽に連絡を下さい。同じ研究室で進学しようか、私たちの分野に転身しようか迷っている方で、まずは少し話を聞いてみたい という程度の方でも結構です。メールをお待ちしています。