良いお年を 

 2004年の最後の日になりました。

 今年は以前にも増して多くのことがあった年でした。生命文化学研究室の立ち上げと初めての大学院講義、そしてゲノムひろば第3回の開催といった大きな仕事は、なんとか無事終えることができました。大学院生の伊東さんも無事研究をスタートさせ、研究員の加藤牧菜さんもゲノムひろばの基本展示の制作などを中心に頑張ってくれました。今年の1月には部屋の改装も終っておらず、まったく空っぽだった生命文化学の研究室が、1年たってそれなりの形を整えて動き出すことができたのは、研究室の3人のメンバーのおかげです。
 ただ、私自身は、正直なところ、次々と迫ってくる仕事をひたすらこなしていくのに精一杯で、なかなか創造的な方向に頭を使うことができなかった気がしています。

 今年は、日本でも海外でも、自然災害の多い年でした。12月26日に発生したインド洋の大津波では、亡くなった人々が10万人を越えたというニュースが流れています。太平洋側で整っていた津波の警報システムがなぜインド洋側で整備されていなかったのか。大げさな表現をすれば、社会における科学や技術のあり方が問われることになるでしょう。そうした議論は、地震という分野を越えて、科学と技術のあらゆる分野に広がる可能性が高いと思います。生命科学にしても、日本や欧米のような先進国の人々だけでなく、今回被災したような国々の人々を含む世界中の人々にどう役立つのかを考えることが必要になるでしょう。

 来年こそは、雑用をうまくこなして、余裕を持って将来を考える年にしたいと思います。皆さま、どうぞ良いお年をお迎えください。