生命科学の倫理とガバナンス

ごく簡単に最近の状況の報告です。       

6月は2度海外に出ました。最初はフィラデルフィアでの国際幹細胞学会(ISSCR)。次は英国オックスフォードでのバイオバンクのガバナンスに関する国際会議。前者では研究員の川上君と共同でポスター発表を、後者では口頭発表をしてきました。       時間がないので細かい話は略しますが、どちらの会においても、諸外国の政府機関や大学に多数の専門家が配置されていて、バイオサイエンスの倫理とガバナンスについての調査や研究が活発に行われていることがわかりました。それに比べて日本ではしっかりとした研究拠点がほとんどないのは一体どういうことかと、またもやフラストレーションを感じて帰ってきたというのが正直なところです。オックスフォードの学会にはアフリカの数ヶ国を含む30カ国からの参加者が集まっていました。      

科学技術に巨額の投資をしているこの国が、科学政策や倫理、ガバナンスの検討に必要な人材の育成と配置(研究費の投下ではない)に本気で取り組むのはいったいいつのことなのでしょうか。とりわけダイナミックに研究が進んでいるライフサイエンス分野の(ガバナンスを扱う)人材不足は本当に深刻です。