英国に思いを馳せて

突然の話題ですが、先週、天皇、皇后両陛下が英国を訪問されていました。1990年代のはじめの4年間、博士研究員としてケンブリッジで過ごし、2012年に大阪大に来てからは(実はその前も)、オックスフォード大学と様々な共同研究を進めてきた私は、ロンドンでの諸行事からオックスフォード訪問まで、大変、感慨深くニュースを見ていました。特に先週金曜日、両陛下がかつて留学されたオックスフォード大を訪問された様子は、自分が何度も歩いた道をお二人が歩いておられ、まるで一緒にいるような気持ちでした。ロンドンのクリック研究所も昨年の3月、第3回ヒトゲノム編集国際サミットの折に訪問していた場所でした。

お二人が、オックスフォード、そして英国で過ごされたことは、その後の様々なお仕事、活動に影響を与えただろうと思います。私も、同様に、英国での様々な経験(振り返ると最初の滞在はもう30年も前です)から、一言では語り尽くせない多くの影響を受けました。そこには、まずは、学問のあり方、世界の見方と言った大きなレベルのことがあり、それが現在、世界規模での先端生命科学、医科学技術の倫理やガバナンスについての研究や活動を行うために役立っています。さらには、スーパーで買い物をする、洗濯をする、散髪をする、と言った日々の生活についての経験が、日本はもちろん様々な国の人々の生活について考える際の物差しの一つになっています。

最近は、若い人たちが海外に出たがらないという話を頻繁に聞きますが、とにかく異文化の中での経験には様々な意義があるので、大いに飛び出して経験してほしいと思います。写真は一昨年の冬に、現在は大阪大の副学長になられた、人間科学研究科の山本ベバリーさん、研究室の助教の古結(こげつ)敦士さんと、AIに関する市民のエンゲージメントに関する共同研究で、オックスフォード(共同研究の相手は法学部のJane Kaye 教授)に滞在した折のものです。