古結助教、加藤教授らによる論文が公開されました

近年、医学研究への情報通信技術の応用が広まりつつあります。その一例としてオンラインでの研究参加者の募集、電子的なインフォームドコンセントといった、インターネットを介した研究参加者との様々なコミュニケーションが挙げられます。インターネットを用いることで、空間的な制約のない、継続的なコミュニケーションが可能になると期待されている一方で、デジタルデバイド、プライバシー侵害の懸念、提示された情報に関する理解を確認する方法、参加者の認証方法など、新たな倫理的課題に取り組む必要があります。これまでの研究は個別の倫理的課題に焦点を当てており、インターネットを介して研究参加者とコミュニケーションを取る上で留意すべき事項を概観する試みはありませんでした。また、実装に際してどのようなことに留意すべきかをまとめたルールや指針も存在しませんでした。

今回、当研究室の古結敦士助教、加藤和人教授は、医学研究の研究倫理原則を用いた倫理的分析により、医学研究においてインターネットを介して研究参加者とコミュニケーションを取る際に留意すべき事項を同定・整理し、実装のための倫理的枠組みとして提唱しました。さらに、研究者、患者パートナー、倫理審査委員会、研究助成機関といった各関係者がこの枠組みをどのように利用すれば良いかを示したフローチャートと併せて、実践的ガイダンスとして提案しました。これにより、インターネットを用いた新しい形の医学研究がより倫理的に進められることが期待されます。

論文題目:Framework and practical guidance for the ethical use of electronic methods for communication with participants in medical research

掲載誌:Journal of Medical Internet Research

doi:10.2196/33167

https://www.jmir.org/2022/4/e33167