私たちの研究

患者の視点を反映した研究・政策形成に向けての提言

 

本提言は、2018年10月〜2022年3月にJST-RISTEX(社会技術研究開発センター)の研究助成を受けて実施された「医学・医療のためのICTを用いたエビデンス創出コモンズの形成と政策への応用」(代表:大阪大学 加藤和人、通称「コモンズプロジェクト」)の研究成果を基にして作られました。本研究は、より患者の視点を反映した、政策形成の際に参照可能な「エビデンス」の創出を目的としています。

本研究では、10疾患の希少疾患の患者・患者家族、研究者、行政経験者が計20回以上のワークショップを通して継続的に熟議を行いました。このような継続的な熟議の場を通して、参加者がお互いの視点や考え方を学び合い、自身の成長と信頼関係の醸成を実感し、そのことが議論の深化に大きく寄与しました。

本研究の結果、希少疾患を抱える患者やその家族は、診断や治療等の医療面に関することだけではなく、生活面や心理面の負担、繋がりや情報、認知・理解の不足をはじめとする、多岐にわたる、計り知れない困難に直面していることを改めて整理して提示することができました。このような困難は、既存の政策や研究だけでは十分に対応できていないことが議論を通して明らかとなりました。さらに、そのような困難に対して研究として取り組む際に、どういった研究テーマに優先して取り組むべきかという優先順位についても議論を行いました。

本提言では、これらの結果を基に、より患者の視点を反映した研究や政策を実現するために特に重要なことを3項目にまとめています。本提言は、希少疾患領域のみならず、広く医療・医学研究の政策に資するものと期待します。

(「はじめに」より一部表現変更)

 

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