教授ごあいさつ (小玉 尚宏)

professor

 大阪大学大学院医学系研究科 内科学講座 消化器内科学教室は、本学内科学講座の臓器別再編成により、2005年6月に設立され、初代教授として林 紀夫教授が教室の基盤を築かれました。その後、2011年4月に竹原 徹郎教授が就任され、診療・研究・教育の各分野において教室の発展を牽引されました。
2026年1月1日付で、私がその後任として教授を拝命いたしました。

本教室は設立から比較的新しい教室ではありますが、旧第一内科、旧第二内科、旧第三内科における消化器グループの流れを汲み、長年にわたる臨床・研究・教育の蓄積の上に成り立っています。現在では、現有医局員72名、同窓会員850名を擁する組織へと発展し、教室と30以上の関連病院が一体となって、消化器病学の診療・研究・教育に取り組んでいます。 内視鏡診療、肝胆膵疾患、消化管疾患、炎症性疾患、腫瘍学といった幅広い領域において、日常診療に根ざした臨床力と、基礎研究・臨床研究を有機的に結び付ける姿勢は、本教室が一貫して大切にしてきた特徴です。
「臨床から問いを立て、研究で答えを出し、再び患者に還元する」という考え方は、現在も教室の活動を支える基本原理となっています。
私は、この蓄積を礎に、次の時代にふさわしい大阪大学消化器内科学教室の姿を、教室員とともに築いていきたいと考えています。

・診療について
診療においては、消化管疾患から肝胆膵疾患まで、消化器内科全領域を対象に、高度かつ安全な医療を提供することを最優先とします。内視鏡診療、炎症性腸疾患、肝胆膵疾患といった各分野において専門性の高い診療体制を維持・強化し、患者一人ひとりに最適な医療を届けてまいります。
また、がん診療においては、消化管がん・肝胆膵がん双方を含む局所治療・薬物療法・免疫療法を基盤に、外科、放射線科、病理部など多職種・多診療科との連携を一層強化し、阪大病院ならではの包括的医療を実践します。
日々の診療から生じる unmet needs を見逃さず、最新の医療を確実に提供するとともに、次代の医療を創り出す診療を目指します。

・研究について
研究面では、慢性炎症、代謝異常、再生不全、線維化、腸内細菌叢破綻(dysbiosis)、がん微小環境変化、免疫制御といった消化器疾患に共通する病態の本質に迫る研究を推進します。基礎研究、トランスレーショナル研究、多施設共同臨床研究、医師主導治験を有機的に結び付け、消化器病学全体の発展に資するエビデンスを創出していきます。

バイオバンク、動物モデルを活用し、最新のマルチオミクス解析を通じて、臓器の枠を越えた視点から疾患の理解と新たな治療標的の探索を進めることで、大阪大学から世界へ発信できる研究成果を継続的に生み出してまいります。

・教育について
教育においては、高い臨床能力と研究マインドを併せ持つ Academic Physician の育成を柱とします。学生、研修医、大学院生一人ひとりの個性と志を尊重し、国内外で活躍できる人材へと成長できるよう、臨床・研究・国際経験の機会を積極的に提供します。
次世代を担う医師を育てることは、本教室の重要な使命の一つです。

・私たちの理念
私たちが大切にしている理念は “Empowerment” です。
教室員一人ひとりが、それぞれの立場やライフステージに応じて、思い思いの形で能力を発揮し、成長できること。
その力を引き出し、挑戦を後押しする環境を整えることが、教授としての重要な責務であると考えています。

消化器内科の臨床が好きな人、研究に挑戦したい人、世界に羽ばたきたい人、地域医療を支えたい人――
多様な志を持つ若い先生方が安心して集い、成長できる教室を目指します。

大阪大学消化器内科学教室が、
人が育ち、知が生まれ、世界へとつながる場であり続けられるよう、教室員とともに歩んでまいります。

2026年1月
大阪大学大学院医学系研究科
内科学講座 消化器内科学
教授 小玉 尚宏 

前教授ごあいさつ (竹原 徹郎)

professor

 2011年4月1日付で、初代 林 紀夫教授の後任として大阪大学大学院医学系研究科 内科学講座 消化器内科学教室の教授に就任致しました。 消化器内科学教室は本学内科学講座の臓器別再編成により2005年6月に設立された新しい教室です。しかし、旧第一内科、旧第二内科、 旧第三内科の消化器グループの伝統を引き継ぎ、現有医局員75名、同窓会員636名の大きな組織となっており、 教室と関連病院が一体となって消化器病学の診療・研究・教育にあたっています。

 診療については、消化器内科のすべての領域をカバーしていますが、 特にがん診療、内視鏡診療、肝炎・肝がん診療に力をいれています。消化器内科学教室の関連病院は大阪府下・阪神間を中心に40以上を数えますが、 このような関連施設と密接に連携して、これらの分野の診療をおしすすめています。OLF (Osaka Liver Forum) Studyをはじめ豊富な臨床データをもとに エビデンスの創出に努めるとともに、患者さんに優しい最高の医療を提供しています。研究面では、肝臓、胆膵、消化管の各領域で基礎研究・臨床研究を 推進しています。教室員にはすぐに臨床には役立たなくても学問的に重要な課題には正面から取り組むことと、臨床に直結した研究を行うことの双方を求めています。 国際的に高い評価を得ることと臨床を変える研究を行うことが教室の使命です。教育に関しては、学部学生教育・卒後教育の充実はもちろんですが、 高度な診療・研究を推進することを通じて、優れた消化器内科医・医師科学者の育成に努めています。関連病院の臨床教授、臨床准教授、スタッフの先生とともに、 学部学生教育から消化器内科医としての高度なトレーニングまで教室と関連病院が連携して教育を行っています。

 2011年4月、阪大消化器内科学教室は新たな スタートを切りました。地域の高度な診療を担うとともに、世界に通用する情報の発信と指導者の育成に努めていきます。多くの患者さんのご来院、 ご紹介をお待ちいたしますとともに、志の高い若い先生方の参入を期待しています。

2011年5月
大阪大学大学院医学系研究科
内科学講座 消化器内科学
教授 竹原 徹郎

林 紀夫 名誉教授 ご挨拶

professor

 大阪大学における消化器疾患の診療および研究は、旧第一内科、旧第二内科、旧第三内科の消化器グル-プで行われていましたが、 平成17年春の内科学講座の再編により、その一体化と効率化が図られ、平成17年6月に消化器内科学講座が誕生しました。このように新しい教室ですが、 旧内科の消化器グル-プの歴史は旧く、現在消化器内科学の同窓会員は500名を超えており、他大学の消化器内科にも多くの教授を輩出しています。 また、大阪府および阪神間の基幹病院の消化器内科はわれわれの関連施設が多く、30を超える病院の消化器内科で教室の先輩や研修医が活躍しています。

 人口の高齢化にともない消化器疾患の患者数は増加しており、その中でも特に癌患者数の増加は顕著で、医療における消化器内科の重要性は更に高まると思われます。 消化器内科の診療の進歩は急速で、肝癌の局所治療や消化器癌の内視鏡治療などの新しい治療手技が次々に導入され、その進歩には目を見張るものがあります。 その習得には優秀な指導者のもとでのトレ-ニングが必要であり、関連施設と協力しながら効率的に専門医の教育を行っており、関連施設では優秀な消化器専門医が 多く育っています。今後、これらの関連施設と協力することにより、臨床研究をさらに進めて行きたいと考えています。

 研究につきましては、 現在肝臓および消化管を中心に行なっていますが、旧内科の時代からその業績は国際的に高く評価されています。肝臓グル-プでは、ウイルス性肝炎・肝癌を対象として、 分子生物学的手法および免疫学的手法を用いて病態解明を行うとともに新しい治療法の開発も行っています。また、肝臓は最大の代謝臓器であり、 最近注目されているNASHなどの代謝疾患の研究にも力をいれています。一方、消化管グル-プでは、消化性潰瘍、胃がん、大腸がん、炎症性腸疾患を対象に、 分子生物学的研究や免疫学的研究を行い、多くの成果を上げています。現在、教室内には若くて優秀な人材が多数おり、今後とも消化器病学の発展に寄与できる研究を 進めて行きたいと考えています。

 われわれの教室では、自身の医療・医学レベルの向上を目指して自己研鑽に励んでいます。 最近の医療情勢は大きく変化しており、その対応に苦慮いたしますが、病気に苦しむ患者さんに役立つ診療・研究を目標にして、今後とも教室員一同頑張って 行きたいと考えています。

大阪大学名誉教授
労働者健康福祉機構関西労災病院病院長
林 紀夫
(本ページの内容は2008年4月に作成されました)