大阪大学 消化器内科学 自主臨床研究

 
研究課題 難治性腸管炎症における治療効果に寄与する因子の解析
実施期間 2016年12月31日まで
研究機関 大阪大学 消化器内科学(単施設研究)
主任研究者 竹原 徹郎
研究目的 炎症性腸疾患(IBD)をはじめとする原因不明の難治性腸管炎症は、罹患患者数が増加の一途をたどる一方で、根治治療法が開発されておらず、治療に難渋します。近年の生物学的製剤の進歩により、抗TNF-α抗体製剤がIBDに対し臨床応用されているものの、治療開始時に効果のない一次無効に加え、投与中に効果が減弱する二次無効が臨床上の大きな問題点となっています。二次無効の原因として、炎症部に十分な薬物が到達していない可能性が考えらますが、薬剤が腸管組織にどのように分布しているかは明らかではありません。このような背景から、腸管炎症部、非炎症部における薬剤の分布やTNF-αを中心とした炎症関連蛋白質の発現を検討し、臨床背景や検査所見、治療効果と比較対照を行います。このことにより、二次無効に至る症例の選択を行い、二次無効時の治療戦略を立てることができ、効果的な生物学的製剤使用に寄与するものと考えます。加えて、長期的に効率的な薬剤使用の指針を示すことで、全体として高額な生物学的製剤の使用を抑制する効果が期待でき、医療経済的にも有用であるものと考えます。
対象 以下の選択基準を全て満たし、除外基準に該当しない患者さんを対象とします。(30名)
(1)炎症性腸疾患にて生物学的製剤(レミケードもしくはヒュミラ)を使用中、もしくは使用予定の患者さん。
(2)小腸もしくは大腸内視鏡検査に対し十分なインフォームド・コンセントの上同意の得られた患者さん。
(3)同意取得時の年齢が20歳以上の患者さん。
また、上記基準をみたし、過去に包括同意を得て検体保存を行った患者も対象とさせていただきます。

除外基準:
(1)イレウス状態の患者さん。
(2)抗凝固療法や抗血小板療法を施行中の患者さん。
(3)血小板数が5万/μL以下の患者さん。
(4)妊婦もしくは妊娠している可能性のある患者さん、授乳中の患者さん。
(5)精神病または精神症状を合併しており試験への参加が困難と判断される患者さん。
(6)その他,担当医師が不適当と判断した患者さん。
研究方法 炎症性腸疾患患者さんの血清や内視鏡施行時に採取した生検検体から、薬剤の濃度や炎症関連蛋白質の発現を測定し、内視鏡検査時の炎症所見や活動性スコアなどとの比較検討を行います。この研究によって、生物学的製剤が二次無効となる原因を調べることができ、効果的な生物学的製剤の使用に寄与すると考えられます。
プライバシーの
保護
本研究では炎症性腸疾患患者さんの血清および内視鏡検査施行時に採取した生検検体などを研究対象とします。 プライバシー確保のため、患者さんが特定できないようにデータを処理した上で研究解析を行います。また、研究結果を公表する際には、患者さん個人が特定されることはありません。ご自身のデータを使ってほしくないとお考えの場合は、2015年5月31日までに下記にご連絡ください。
本研究に関する
問い合わせ先
大阪大学消化器内科学 新崎 信一郎(助教)
連絡先電話番号:大阪大学消化器内科学(06-6879-3621)